● 特殊奏法 ●
ドラムセットプレイで使われる特殊な奏法や独特なテクニックです。 ■ ドラム類の特殊奏法● スティックショットJazz系の曲冒頭ピックアップフィルなどで聴かれる「カッカカッ」といった異様に響くスティック打ちです。スティック片方のチップをSDヘッド上に接触させておき、もう片方のスティックでそれをショットしてスティック同士を打ち鳴らします。スティック同士の音とSDの共鳴が重なり何ともいえない抜けるスティック音がします。スナッピーはオンで行います。クローズドリムショットの原理に近いといえるでしょう。この奏法ではスティック両方が塞がるために他の通常フレーズと絡めるのはやや難しくなります。使用頻度もそれほど多くはありません。 ● リム刻み各タイコのリム部分のみを「カッカッ」と普通にヒットする奏法です。HHの代用的な意味合いで刻みフレーズに使われます。使用頻度はたまにという程度でしょう。オープン/クローズのリムショットとは無関係です。 ● ヘッド上ショット場所の違いによる色付けヘッド上のヒット位置を適宜移動させ音色変化をつけます。ドラムの基本はスウィートスポットヒットですが、あえて外すその違いを利用します。無意識も含めまあまあ日常的にプレイされる当たり前の奏法です。タムやスネアの連打時にクレシェンドと併用でヘッド縁→中心へ移動する奏法がよく見受けられると思います。 ● ヘッドのベンド奏法ヘッドを片方の手や肘やスティックで無理矢理押さえつけた状態のままもう一方でヒットして音を出します。ヘッドテンションを強引に変えることでトーキングドラムのようなピッチ変化を得ます。元々が低テンション気味で音程が判り易い小口径タム類で行うと効果的です。SDでは当然スナッピーオフでないと効果が薄くなります。使いどころはDrumSoloぐらいでしょう。使用頻度は低いと思います。 ● 素手プレイパーカッション的に素手でヘッドを叩く奏法です。タム類ではスティックに比べどうしても抜けが悪くなるので使いどころは見た目のパフォーマンスとしてのSoloなどに限定されるでしょう。またスティックは持ったまま、クローズドリムショットに絡めて指でヘッドをヒットしより小音量なゴーストを入れるプレイもあったりします。 ● ワイヤブラシでのバウンド奏法オープンリムショット的な要領でショット直後ブラシの柄をリムにかけ、そこから先端にかけてをヘッドに押しつけるようにして先端ブラシ部分をヘッド上で細かくバウンドさせます。デクレシェンドのブラシタップ連打音が得られます。エフェクト的な使用になります。 ● 貧乏ゆすりBD連打貧乏揺すりの筋肉運動を利用してBDの高速シングルストロークを行います。常時ヒールアップの状態で貧乏揺すり的に連打ををするだけですが、当然タイムキープの練習なりは必要です。必須の技術ではないながらまあまあ便利に使えます。 ● フットペダル2台同時踏み左足でツインペダル左と隣り合うHHペダルを同時に踏みBDとHHフットクローズ音を同時に演奏します。足の裏の右半分と左半分ずつで2台踏みしたり踵とつま先でそれぞれを踏んだりとやり方もいろいろなようです。キワモノ奏法の部類で出来れば楽といった程度です。どうしてもこれが必要になる場面はまず無いでしょう。 ● コンガのタゥーン奏法 (ムースコール(Moose Call)奏法)唾で濡らした指をコンガヘッド上を滑らすように擦り撫でます。たぅーんというベンドの掛かった奇妙な音が得られます。有名曲ではSimon & GarfunkelのMrs. Robinsonで頻繁に聴かれる音です。1音ごとに1回指を舐めます。 ■ シンバルの特殊奏法● チョーク奏法(ハンドミュート)HR系単発アクセント「キメ」で多用される「クラッシュ直後即ミュート」です。手でシンバルエッジを直接つまむように押さえます。ショットした側の手でもそうでない側の手でもどちらでも行われます。BDとCCym同時ヒット時のチョークが非常にポピュラーです。またごく希にJazzのHHレガート「シャーツッツ、シャーツッツ」でのオープン音制御を足踏みでなくわざわざ手でつまんで行うこともあります。演奏後はシンバルをよく拭いておきましょう。 ● シンバルエッジ垂直ヒットスティックをぶら下げるような感じで持ち、エッジに対し垂直にスティックボディをあてて「コキーン」という音を得る奏法です。ごく静かな曲中での単発アクセントでは重宝します。このショットだけで「キ、コ、カ、キ」のようなフレーズやパターンを組み立てるのも効果的です。 ● 音溝スウィープ奏法おとなしい演奏で使える特殊エフェクト技です。ワイヤブラシのお尻の金具でシンバル中央部カップ脇から外側に向かって表面を直線上に優しくサッと撫でます。「シャインッ」というベルチャイムをごく短くしたような美しいサウンドが得られます。当然音溝のないタイプのシンバルでは不可能です。お尻の金具はカップヒットやピング音にも使えます。ナイロンブラシでは金具が無いモデルも多いです。 ● 押しつけピング音チップを垂直に押し付けるようにしてアンビエントを殺しつつ「コツ、コツ」と鳴らす方法もあります。音量は小さめで高速の連打もできません。エフェクト的に使用します。使用頻度はかなり低いでしょう。 ● 使用禁止:リバースショットシンバル破壊覚悟で行われるリバースショットもあります。これは下方から打ち上げるクラッシュヒットでノーマルショットとの高速交互打ちのパフォーマンスに使われたりします。自分所有楽器以外では禁止です。 ● インスタントシズル化グッズこれは奏法の類ではなく「シズルシンバル」というリベットを打ち込んだ余韻の長い特殊シンバルを簡単にシミュレートできるアイデア技です。DIYショップで売られている「洗面台の栓のための鎖」を適宜加工してシンバルスタンドへの取り付け部からシンバル表面に垂らします。手持ちのシンバルすべてにシズルオプションを適用でき、またステージ中ただ1曲だけシズルサウンドが欲しい場合での追加セッティングがなくなるのがメリットです。演奏中シンバルの振動で中央のフェルトに巻き付いてしまう現象が起こる場合もあるので適宜対策しておきます。 |
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