● 基本的奏法 ●
§ ▼基本ショット4種 ▼シングルストローク、ダブルストローク ▼基礎練習法 ▼奏法の呼称 ▼ドラム類の奏法 ▼シンバルの奏法 ▼BDの奏法 ▼HHの奏法 ▼ブラシの奏法 基本ショット4種と基礎練習法。Drum/Cym/BD/HHそれぞれの奏法。ブラシの奏法。 ■ 基本ショット4種● ルーディメンツ由来の4種の基本ショット現在広く普及しているドラムセットプレイでは軍楽隊などのマーチングドラムからの流れである「ルーディメンツ」と呼ばれるショットの基礎技術が使用されています。ルーディメンツは左右の手順バリエーションを重視した練習用の短いフレーズ集です。 ルーディメンツでは「アクセントショット:大きい音」と「ノンアクセントショット:小さい音」を明確に区別します。これを表現するために4種類のショット法が存在します。 レディーポジション
振り下ろす直前にスティックを構えている位置をレディーポジションといいます。レディーポジションはハイ位置とロー位置の2種をはっきりと使い分けます。ハイポジションは丁度振りかぶった状態でスティック角度が80度程度の位置、ローポジションはスティック角度はほぼ水平でチップがヘッドから約1インチの高さにある状態をいいます。 4種のショット(下図はSVGアニメーション)
スティックの戻り位置は次のショットに繋げるためのものです。即ち、戻り位置が次ショットのレディーポジションとなります。 (下図はSVGアニメーション) たとえば4/4拍子16分音符で拍アタマにアクセントを置いた「R l r l R l r l …」の手順 (アクセント:大文字、ノンアクセント:小文字) を続けるとします。この時のストロークは「右ダウン、左タップ、右アップ、左タップ」の繰り返しです。「R l R L R l R L …」では「右フル、左アップ、右フル、左ダウン」の繰り返しです。実際にやってみれば合理的ですぐに納得出来ると思います。 なお、ドラムセットプレイで使用される奏法は上記4種がすべてというわけではありません。この4種はルーディメンツベースのフレーズを演奏するのに重宝するという理由から広く取り入れられているのだと思います。 ● 腕各部の使い方一般的にはフレーズのスピードが増すに従い「肩 → 肘 → 手首 → 指」というふうに使う場所を変えてショットをする、などと言われます。例をあげると、16分音符を演奏するときに、テンポが60以下あたりで肩、肘、手首、指すべて使用、60以上で肘、手首、指、120以上で手首、指、180以上で指を使う、とかです。が、このセオリーを厳密に気にする必要はないと思います。 実際には中指、薬指、小指の3指はテンポに関係なく常にリバウンドコントロールに使います。フレーズのスピードが上がってくればメインで使う部分は自然と腕の先端よりになってくるものの、このとき肩や肘を全く使っていない訳でもありません。スティックも含めた腕全体の連携アクションを意識して無理なく自然に振り下ろします。振りの支点はどこかに固定されているのではなく空中をフロートしているイメージです。 レギュラーグリップ左の場合も同様の感覚で良いと思います。リバウンド制御が主には親指、中指、さらに微妙に人差し指と手首の一連の動きに替わります。手首はひっくりかえっていますが、肘から手首にかけての振りの動きはマッチドとだいたい同じになります。こちらも支点は空中にある感覚です。 スティックは見た目にしっかり握っているようでじつは全然ゆるゆるにグリップしています。逆にいくら力むなといっても見た目までゆるゆるガクガクではまだ駄目です。スティックと一体化した感覚になるように練習を積みましょう。 ● ルーディメンツでは使用していない、その他のショット方法参考までに挙げておきます。一部使用頻度の低い特異なものも含みます、詳細は別頁。 / 2段のレディーポジションを意識しない無段階音量のごく普通のショット / シンバルレガート時(指を積極的に使用) / モーラー(リバウンドを積極的に利用した連打) / 手首返し打ち / オープンリムショット(通常ショットでヘッドとリムの同時打ち) / クローズドリムショット(スティック後端をヘッドにあてたままリム打ち) / 手首のアップダウン(手首上下運動を利用、HH刻み) / スティックショット(ヘッドに接触させたスティックをもう片方でヒット) / シンバルエッジ垂直あて打ち(ぶら下げ持ち、コキーン音) / ... ■ シングルストローク、ダブルストローク● シングルストロークとダブルストローク「ひとつ打ち」と呼ばれるものがシングルストローク、「ふたつ打ち」がダブルストロークです。
● ダブルストロークの奏法一部の通説では一打目はリスト(手首)ショット、二打目はフィンガー(指)ショットで行え、のようにいわれていますが実際は違います。一打目も二打目も腕の全部を使い滑らかな動作を実現させます。結果として、一打目はリストショット、二打目はフィンガーショット「のように見える」のはあたっています。 私の考えるダブルストロークのコツは「とにかく二回打て」です。気分的にはシングルストロークとの区別はあまりなくダブルは素早くシングルを二回打つ感じです。高速域でのノンアクセントダブルは、やはりフィンガーストローク主体の感覚になります。だいたいテンポ120の32分音符以上でフィンガー使用率8割というようなイメージです。実際の曲演奏時には、二連発アクセントやトリプルストロークや四つ打ちも使います。「三回打て、四回打て」も練習しておきましょう。 レギュラーグリップでのダブルですが、通常はマッチド同様、素直に素早く二打するショットを使います。私はやりませんがやや特殊なショットとして、手の甲をやや上向きにして人差し指、中指を下向きにバウンドさせるダブル (さらには片手ロールのように連続打ち)の奏法もあるようです。 ダブルストロークの練習はリバウンド制御の練習ともいえます。スネアだけでなくシンバルでもフロアでも打てるようにします。実用スピードは32分音符でテンポ100以上です。修得には期間を要するでしょうが練習あるのみです。 ● オープンロールとクローズドロール (プレスロール、バズロール)前述もしましたが32分や64分音符程度の比較的高速な連打をロールといいます。マーチングなどでは粒立ちをハッキリさせるためロールにはダブルストロークのみが用いられ、これを「オープンロール」と呼びます。対してジャズやクラシックなどでみられる「ザーー」というスネアの粒の見えないロール奏法を「クローズドロール」と呼んでいます。アートブレイキーのナイアガラロールで有名です。 クローズドロールはショット直後にチップをヘッドにやや押しつけるようにし、ヘッド上を転がす感じでリバウンドさせ音を創ります。その奏法からプレスロールとも呼ばれます。通常のショットとはかなり違っていて「ザーー」と切れ目無く続いた感じを出すために左右のショットを微妙にダブらせて演奏し継ぎ目をカモフラージュします。意識する符割も3連符や32分、16分、さらに全く意識しない時など場合によりけりです。非常に高速に音の粒を拾う場合もあれば完全に押しつぶすときもあります。 中薬小の3指もあまり使わずスティックを挟んだ支点でコントロールする場合が多いようです。ショット時のフォームも犬かきのような手の動きと形容されます。プレイ映像なども確認してみると良いでしょう。 ルーディメンツでクローズドロールを組み込んだフレーズは使用されませんが、実際の演奏では使う機会もそこそこにあります。コツさえ掴めば技術的には比較的簡単です。 ■ 基礎練習法目標は、「タイミングの正確性」、「ダイナミクス(音量)コントロール」の習得。 普遍的なセオリーとしては、 「非常に遅いテンポから始めて確実に技術をものにしていく」 「苦手なことを重点にやる」、です。 ● テンポの無段階加減速シングル、ダブルともに連続16分音符のロールを想定してテンポのみを加速減速させる練習です。テンポ30ぐらいのゆっくりから始めて徐々にテンポを早くし自分の限界のスピードになったら暫くそのピークをキープした後今度はテンポを落としていきます。 「遅 →(アッチェレ)→ 速 →(リタルダンド)→ 遅」 の一連の動作に30秒以上かけます。音量は常に一定をこころがけ、またピアニシモキープからフォルテシモキープまでそれぞれの音量ごとに練習します。当然ながらスピード変化なのでこの練習ではメトロノームは使えません。使うのは限界ピーク時テンポの確認ぐらいです。 ● ダイナミクス(音量)の無段階変化音量のチェンジアップです。同じくシングル、ダブルともに連続16分音符のロールを想定します。テンポ一定の 「ピアニシモ →(クレシェンド)→ フォルテシモ →(デクレ)→ ピアニシモ」をメトロノーム使用で行います。テンポのバリエーションも低速の限界から200あたりまで幅広く、まんべんなく練習します。音量は力ではなくショットスピードで確保します。 ● 音量とテンポの一定キープテンポ、音量共、「常に一定」をひたすらキープして正確性を追求する練習も重要です。左右交互だけでなく右だけ、左だけ、また左右交互でも右スタート、左スタート、さらに左右の足でも同じように練習ができます。右手右足の交互とかロール以外のフレーズを使う等々、こういった最も基本的な練習でも数多くのバリエーションが考えられます。最初のうちは無理のないテンポで正確にコントロールする感覚を養うことが重要です。特に極低速テンポでの練習は効果的です。 ● 音符のチェンジアップ通常チェンジアップと呼ばれるのがこれです。まずはシングルロールで、全音符 → 2分音符 → 4拍3連符(3連2分音符) → 4分音符 → 2拍3連符(3連4分音符) → 8分音符 → 1拍3連符(3連8分音符) → 16分音符 → 1拍6連符(3連16分音符) → 32分音符… という感じで演奏音符をチェンジさせていく練習です。切り換えタイミングも1小節おきや4小節おきなど自由に設定してみましょう。32分音符から逆にたどることも行います。当然メトロノーム使用テンポ一定です。加えて左右手順入れ替えなど色々と応用発展させてみて下さい。 ● アクセント移動たとえばノンアクセント16分音符をひたすら続けるなかで、任意の位置に自由にアクセントショットを入れていく、といった練習です。前述の4種の基本ストロークの習得に最適です。楽曲演奏にもすぐに役立ちます。 ● メトロノームの使用法基本は4分音符を鳴らして使用します。まずはタイミングに完全にシンクロさせることを目指します。練習パッドやスネアでの演奏でアタマ拍にあたる4分位置の音がピッタリ合えばメトロノームの音が消えて聞こえます。慣れてきたら4分のウラ=8分の2,4,6,8拍で鳴らすことにもチャレンジしてみましょう。さらに3連符の真ん中やケツでとってみるなどアイデアはいろいろとあります。 次の段階はメトロノームに対し意図的に微妙にずらすことも行いますが、初期はあまり考えなくてよいかもしれません。正確なタイムをキープしながらそのなかで自由にヒット位置を制御できるようになるのが目標です。 ■ 奏法の呼称奏法の種類と用語解説。接頭辞にはよくオープン / クローズドの呼称が使われます。
ハイハット上下の開き具合を指す、オープン / ハーフオープン / クローズ状態と混同しないよう注意しましょう。 ● ドラム類の奏法の呼称
● シンバル類の奏法の呼称
● 奏法ではない用語、やや誤解しやすいもの
■ ドラム類の奏法● 普通の奏法スティックのチップでヘッドをヒットする当たり前のショットが最も使用頻度の高い普通の奏法です。上記のルーディメントから来たショット法もあれば、シンバル乱れ打ちなどにも使用する手の甲を返したもの、モーラーで知られるバスケのドリブル的にリバウンドを活かしたものなど、色々です。 ドラム類各パーツ音のおおまかな使用用途 / SD: アップビートの強調、最も目立つアクセント音、目立つフレーズの組み立て。 / BD: ダウンビートの強調、Bassのフォロー、中程度のアクセント音。 / タム類: フィルイン等の連符フレーズの組み立て、中程度のアクセント音。 ● オープンリムショットヘッドとリム(フープ上縁部)をほぼ同時にヒットしてシェルをスティックでダイレクトに鳴らす特殊インパクトショットの技術です。 ヘッドは普通にチップでヒットし、そのときそのまま落とし込むようにリムにスティックのボディ又はショルダーをあてます。ヘッドとリムをショットする時間差は体感では殆どありません。フォームは通常のフル、ダウンストロークと同じです。「カーン」的な音になります。 Funk系2,4拍のSDでプレイされる場合が多く、ドラムセット以外ではティンバレスでも頻繁に使われます。タム類ではごく希に連打中のアクセントとして使われることもあります。ヘッド上ショット場所の違い、それによるスティックあて位置変化 (これを「リムを浅くかける、深くかける」と表現します)、リムへのあて強さなどをコントロールして表現の幅を広げます。 SD連打フレーズ中のアクセントで入れる場合は普通どおりヘッド中心部をヒット、同時にショルダーでリムをかけます。 ● クローズドリムショットバラード2,4拍やおとなしめのアプローチでよく聞かれる「カツ」というSDの奏法です。スティックのお尻 (柄後端部) をヘッド上に置き接触させた状態で、そこを支点にそのまま倒し込むようにショルダー部近辺でリム(フープ上縁部)をヒットします。スナッピーオンであればSD全体が共鳴してとても美しい「カツ」音が得られます。スナッピーはオンでもオフでもおこなわれます。お尻を置く位置によって表情をコントロールできます。 ■ シンバルの奏法● ピング音系スティックチップでシンバル表面を普通にヒットします。「チン」という出音のことをピング音と呼ぶようです。RCでの刻みフレーズで使用する場合が多いでしょう。「チチチチ...」のように粒立ちをハッキリさせた「オープンシンバルロール」としてダブルストローク又はシングルストロークで高速連打する場合もあります。 ● クラッシュ音系スティックショルダーでシンバルエッジを斜めにヒットします。1打ヒットで「シャーン」というクラッシュ音が出ます。BDとの同時打ちで頻繁に使用されます。 シンバルロール (クローズドシンバルロール)一般には単にシンバルロールと呼ばれるクローズドシンバルロールです。クラッシュショットを柔らかい感じで高速連打すると「シャーアアア...」という持続クラッシュ音が得られます。多くはクレシェンドも併用し、またフェードインも可能です。HHハーフオープンでのクローズドシンバルロールは音価もコントロールできます。マレットを使用(シンバル表面)すればより柔らかい音になります。 ● カップ音 (ベル音)「カン」というシンバルカップ(ベル)ヒットです。チップで普通にヒットすれば倍音の少ないクリアな「チン」、ショルダーやボディ中央部でヒットすればが大音量の「カン」、という音が出ます。カップヒットのみで4分を刻むのはもちろん、カップとシンバル表面で「カンチンカンチン」の刻みフレーズを組み立てたりします。 ● シンバルレガートJazzで「チンチキ」と形容されるライドシンバルピング音刻みの演奏そのもののことを指します。特定の音形や奏法の意ではありません。手本とされるセオリーからは外れた多様なショット方法で演奏されます。HH使用の場合もHHレガートと呼びますが単にシンバルレガートいえばRCでの刻みのことを指すようです。 下例のチンチキ型や、4分音符のみ、などが代表格の音形です。
跳ね具合も曲によって変化し、ほぼフラットで跳ねていない速いテンポものから完全に3連であるスロー系まで様々です。ミディアムのテンポではその中間でスウィングさせることも多くなります。 ショット方法に決まりはなく、フレンチグリップがさらに外側にひっくり返ったものから、親指と伸ばした残りの4指でただつまんだだけようなもの、超高速テンポでのフィンガー駆使トリプルストローク、など色々です。より繊細なタッチや硬い打面からの独特なリバウンド制御のために変則的なスティックワークが用いられていると思われます。実際の演奏を生や映像で観てみるのがお勧めです。 ■ BDフットペダルの踏み方● フットペダルでの奏法ペダルのボードを普通に下方に踏み込んでビーターを動かしショットします。ひとつ打ちでは特に特殊な動作は行いません。膝、踝、足の指にかけては、スティックショットの振りを足に移植するイメージで望めば良いでしょう。力任せに踏まないように、腿の重量を掛けすぎないようにしましょう。 セッティングでは、ペダルの跳ね返りのスプリングテンション調整にも気を配ります。椅子高さはプレイヤーによりけりで膝角度90度〜120度ぐらいのまあまあ大きな差があります。椅子には浅くかけます。シューズに決まりはなく普通の運動靴なり裸足なりで構いません。 BDふたつ打ちにはやや独特の奏法があり、「普通に素早く2発踏む方法」に加えて「スライド奏法」という技術があります。スライド奏法では一打目のリバウンドをつま先部分の前方へのスライド踏み込みで制御して二打目をヒットします。スライド時に足首を左右どちらかに捻る癖を持つプレイヤーもいます。一打目も二打目も常に踵は浮かしたままスライドさせます。スライドダブルはパワーが出ますが足を元位置に戻すタイムラグが弱点です。 三つ打ちはダブルと同じ技術を使う場合が多いようです。四つ打ち以上の高速連打は貧乏揺すりの動作を応用する感じになります。 演奏姿勢の踵の浮き具合の違いで「ヒールアップ奏法」と「ヒールダウン奏法」に区別した呼びかたがあります。
演奏では上記の2つともを使用します。フレーズ次第でヒールアップ、ヒールダウンのポジションへ瞬時に移行したりします。私の場合はヒールダウンから踵を微妙に浮かせた状態の中間奏法のようなものも使います。 ヒールダウンの鍛錬は足首のコントロール能力が鍛えられるためフットワーク全般に好影響をもたらします。ヒールアップで悩んでいる場合には逆にヒールダウントレーニングをお薦めします。 ● ヒット後のビーター処理基本は普通にリバウンドに逆らうことなくショット開始位置にまでビーターを戻す奏法(オープンショット)です。ヒット後ヘッドにビーターを押しつけたままにする奏法もあります。押しつけ奏法はミュートによるアタック強調や若干のベンド効果が得られます。ヘビーなミュートが施されているBDの場合はオープンショットの意味はほとんどありません。ミュートの少ないBDで若干のニュアンスの違いを出すため使い分けます。 RockやFunkなどのリズムパターン刻みでは押しつけ奏法、Jazzのフィルインやボサノバなどでオープン奏法、が使われたりしています。これも特に決まりはありません。単なる癖で押しつけ奏法のみを使うプレイヤーも見かけます。 ■ ハイハットの踏み方と奏法● ハイハットスタンドのフットボードの踏み方と奏法基本的にBDペダル同様の踏み方をすればよいと思います。一般にはヒールアップで踏んでいる方が多いようです。ヒールダウン的技術もあれば奏法の幅が広がります。 ハイハットクローズ音ハイハットクローズ音と呼ばれる「チッ」というスティックヒット音を出す場合はペダルを踏みっぱなしでクローズさせた状態を保ちます。チップでHHトップの表面をヒットして音を出します。踏み加減でヒットクローズ音を「ズッ」とか「ジェア」とかに変化させることが可能です。さらにエッジをショルダーでヒットするクローズ音もありこれはHHフレーズ中のアクセント音としてよく用いられます。 ハイハットオープン音 (ハーフオープン)ハイハットオープン音はハーフオープンと呼ばれる状態に開いてHHトップシンバルのエッジをショルダーでスティックヒットします。ハーフオープンとはHHをごくわずかに開き、ヒットすると揺れでトップがボトムに接触して持続クラッシュ音が発生する状態の間隔をいいます。この開き具合も欲しい音に応じて変化させ、上下を接触させたまま踏み圧調整だけで音を作るときもあります。閉じるタイミングの制御で音の長さをコントロールします。HHトップ表面をチップヒットすればより繊細なオープン音になります。 オープンヒット直後にHHを閉じた時に出るフットクローズ音 (後述) について、クローズ時に同時にスティックヒットする場合とそうでない場合があります。HH刻み中8分や16でオープン音を挿入しクローズがアタマ強拍に重なるときなどは同時スティックヒットを混ぜたりします。欲しい音により使い分けますが、フレーズの流れで手数が忙しく間に合わないときはフットクローズ音のみにしたりします。 HHをクラッシュシンバル的に使いたい場合のハイハットヒットクラッシュ (ハイハットクラッシュ) もハーフオープンで行います。ハイハットヒットクラッシュとは、単体シンバルのときと同じ技法で単発クラッシュ音やクローズドシンバルロール音を出すだけのことですが、音の長さをもコントロールできる優れものです。連打ロール時はクレシェンドやフェードインも可能です。 フルオープン時HHを完全フルオープンで使用することは滅多になく、HHトップを単体シンバルとみなして演奏する場合だけに限られます。頻度は極端に低いですがその代表的なものは、カップをHHオープンで鳴らす、HHトップのみをチップでシンバルロール、スティックボディでのエッジ垂直ヒットなどです。 足踏み奏法 (スティック不使用)スティックでヒットしない足踏み奏法です。オープンやハーフオープン状態から踏み込んで閉じた時に出る「チッ」というチップ音がよく使われます。ハイハットフット音といえばこのフットクローズ音を指すようです。フットクローズ音だけでHHを刻むことはよく行われます。 オーケストラの合わせシンバルと同じ要領でクラッシュさせるフットクラッシュもよく使います。フットクラッシュを表現力豊かにコントロールするには繊細なヒールダウン的テクニックが必要です。さらにフットクローズとフットクラッシュを組み合わせて「シャーツッ、シャーツッ」というJazzレガート的フレーズも左足のみで演奏されることがあります。 ● 手首のアップダウンテクニック主にHH刻みに使用される技術です。肘と手首を交互に使うイメージで手首の関節が上下しているように見えるのでこの呼び方があります。速いテンポのHH刻みや、刻み時のアクセントとノンアクセントの区別に利用します。 HH閉ショット時に、オモテ拍はショルダーでHHエッジを、ウラ拍はチップでHH-Top上面をヒットし、これを繰り返します。オモテでは肘と手首を重点的に、ウラでは手首と指を重点的に、自然と使う羽目になりますが、両方とも腕全体を使うという意識は外すことなく行います。見た目の上下動はあくまで結果です。 一連の動きはそのままに、HH上面のみをすべてチップでヒットしたり、任意の拍のみエッジをヒットすることで、アクセント変化を付けます。左手にも適用しオルタネート16分中のアクセント表現に使うこともあります。HH以外でアップダウンが使われることはあまりないようです。希にRCピング音刻みなどに使用されます。 ■ ブラシの奏法ワイヤブラシ/ナイロンブラシでのスウィープを交えた独特の奏法です。 基本の奏法
演奏例【Jazzスウィングでの例 その1】
【Jazzスウィングでの例 その2】
実際には上記2例が頻繁に入れ替わったりするなどさらに複雑です。ブラシの奏法は個人差も大きく、他人のプレイを拝見して「こんな奏法があったのか」と目から鱗な体験も多々あります。レガート同様、生や映像でのプレイを参考にするとよいでしょう。 曲中でのブラシの出番はやはりおとなしいアプローチを求められる時が圧倒的に多くなります。静かなバラードやベースソロ時などが活かしどころです。また曲中でのスティックとの持ち替えも頻繁に行います。右スティック左ブラシなども使います。 ブラシでの特殊奏法
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