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チューニング

2003-6 , 2017-3-28更新

§ ▼基礎知識チューニング方法ドラムヘッドの種類

ドラムの調律をチューニングと呼びます。鳴りを引き出すための重要な調整作業です。

■ 基礎知識

ドラムの場合その音に倍音成分を多く含むため純粋なトーン(音程)を感じるようには調律できません。通常では両面張りがポピュラーであり、打ち鳴らした時の音は表裏の共鳴でさらに複雑となります。またドラムではピアノやギターのように音叉を使うチューニングはごく希で、普通は耳を頼って感覚で決めていきます。

● 全ボルト均等に張る

基本の張り方として、まずは円周上の各ボルトテンションがすべて均一になるようにします。最も素直な鳴りを生むこの均一な張り状態をファンダメンタルテンションと勝手に名付けてみました。ヘッド上のほぼ中央部にはスウィートスポットと呼ばれる良い鳴りが得られる小さな円状のエリアが形成されています。各テンションのバランスが崩れているとスウィートスポットの位置や大きさ、形が変化し、鳴りも悪くなります。またスウィートスポットの位置をチェックしながらチューニングの微調整をしたりします。

上級のチューニング術としてわざと一部のボルトのみを過剰に緩めるなどの変則がありますが、これは演奏中にボルトが抜けてしまうデメリットもあり注意が必要です。

● 表ヘッドと裏ヘッド

表裏を全く同じ音程になるように張れば、共鳴を起こして素直な良い鳴りを生みます。この状態が基本となります。両面均等はファンダメンタルトーンという呼び方があるようです。

次のステップとして、倍音が少ない締まった音や余韻の短い音などを得るため、敢えてこの状態を崩す作業が行われることもあります。オクターブユニゾン(8度)、5th、4thなどの音程差を目指してチューニングします。ヘッドは膜面振動で倍音が複雑なので完全にこの理屈に沿う訳では無いと思いますが、とりあえずの目安であると思っておけばよいでしょう。実際は耳だけで共鳴ポイントを探すので細かいところまで考えたりはしません。

● チューニングの幅

楽器にはそれぞれ良い鳴りを引き出すことのできる音程の幅があり、低音程の限界と高音程の限界のようなものが存在します。これをチューニングレンジと呼んだりします。相当極端なチューニングにしなければこれをはずしてしまうことはまずありません。重量が重いSDやBDやFTのローチューニングなどで気を付けておくとよいでしょう。

● 共鳴 / 共振、干渉

楽器の持つ共鳴周波数

物体はその質量や形状によって決まるそれぞれ固有の共鳴周波数 (共鳴を起こす音程) を持ちます。共鳴振動数とも言います。金属パーツやドラムシェルも含めた楽器単体も固有の共鳴周波数を持っています。

自分に向かって芯のある音が飛んでくる感じを、「音が抜けている」、「抜けた音」、「音抜けが良い」などと形容したりします。楽器全体が良く共鳴している状態だと考えられ、これ目指してチューニングをすることになります。検証してはいませんが、おそらくは楽器固有の共鳴周波数にヘッド鳴りのピッチが合致すると音が抜けるのではないかと考えています。

バズ音

スネアのスナッピーONの状態でタムなどの他楽器を鳴らしたときに、スナッピーが他楽器音と干渉共鳴して出る「ズ」や「ザー」というノイズ音を「バズ音」と呼んでいるようです。ドラムセット内だけでなく、ギターなど他プレイヤーの出音と干渉してバズが発生することもあります。サウンドチェック中などこれが気になるときは適宜スナッピーをオフにしておくと良いでしょう。

パーツどうしの干渉

各パーツどうしの共鳴を解消するべきという意見もあります。たとえばFTを鳴らしたときに別のTTが同時に鳴ってしまう、といった現象です。しかしこれをベストな鳴りを保ったまま解消するのは容易ではありません。 私はドラムはセットの状態でひとつの楽器という考え方のため、タムどうしの干渉なども気にしていません。特にBDがスナッピーバズと常に一体で鳴るのは避けられず、それでひとつの音色を作っているためよしとしています。またGtやPfなど他楽器との干渉は、ステージ内ナカオト音量を下げてもらい、曲中ドラムが無音やシンバルのみの部分ではスナッピーoffで対処しています。

● ミュート

一般的には手で押さえるなりして鳴りを止め消音することをミュートすると言いますが、ドラムチューニングではヘッドの倍音を押さえ音色をコントロールする細工を総称してミュートと呼びます。具体的には締まった音や余韻の少ない音を創り出す作業が主です。ガムテープ使用がポピュラーです。通常のボルトチューニングに対し、ミュートは副次的、最後の手段的な手法です。

・ ガムテープミュート

ヘッドに張り付けたり、そこにティッシュを挟んだり方法は様々です。張る場所も大きさもどの楽器に張るかも人それぞれ自由です。主にチューニングのみではコントロール不能になってしまった余計な倍音をカットするために行われます。当然張れば張るほど音は余韻のない止まった感じになります。私のお薦めは4cm位のガムテープを裏向けにして直径8mm程度に丸めた筒状のものをリムから2〜3cm離れたヘッド上にポンと置く(張る)やつです。ガムテープは布製が良いでしょう。紙製は強力にくっついてしまい後で苦労します。

・ リングミュート

主にSDでヘッドと同口径の幅2〜3cmのフィルム製リングをただ乗せるだけで使用します。手軽にまとまった音が得られ、演奏中でも瞬時に外せるなど、数あるミュート法のなかでもかなり使える方法です。製品として市販されてもいますが古ヘッドのリサイクルで自作できます。またリング状でなくとも切れ端を乗せて一点をガムテープで止めるだけでも効果があります。BD打面にぶら下げるようにガムテープ止めする方法もあります。

・ 内蔵ミュート

最近では殆ど見かけませんがドラムシェル内部にミュート用フェルトマフラーを内蔵した製品もあります。ヘッドへのあたり具合はシェル外側のダイアルで調整します。

・ BDの特殊なミュート処理

BDにおいては「ダ」という余韻のない音を得るために、ミュートを使いより積極的な音創りがなされるケースが多くなります。オモテ面ヘッドの穴あけ、胴内部に畳んだ毛布入れ、フェルトマフラー横断装着、インパクトパッド装着など様々な手法があります。


■ チューニング方法

§§ ▼ヘッド交換の準備ヘッドを張るチューニングするSDのチューニングBDのチューニングセット全体バランス

私の実際のチューニング方法を紹介します。初心者の方は作業の前に正しくチューニングされた各ドラムの生音を体験しておいて下さい。練習スタジオ常設セットのチューンは大抵ボロボロなので、小さいハコでの一流のライブとかドラマーの知人に頼むとかしてみると良いでしょう。シンセ音源やCDは編集加工後の音なので、それだけではやはり不足だと思います。

● ヘッド交換の準備

・ 古いヘッドをはずす

チューニングキーを用いてテンションボルトを緩め旧ヘッドをはずします。このときボルト1本を一気に抜くのではなく各ボルトを徐々に緩め、ラグやエッジに負担を掛けないようにします。

・ 新しいヘッドの処理

新ヘッド装着時のフィットを良くするためヘッド上のエッジに接触させる円周部分を手で軽く揉んでおきます。この箇所はヘッド製造時に接着剤がはみ出して付着している時もあるのでそれをほぐして取り除く意味もあります。揉んだら柔らかい布などで拭いておくと良いでしょう。同時にエッジ側も布で軽く拭き、シェル内やリムも掃除します。エッジにグリスを塗る場合もあるようですが私はシェルへの影響を恐れてやっていません。

● ヘッドを張る

・ ヘッドを装着する

エッジにヘッドを引っかけるように乗せます。斜めになったりしないよう注意して下さい。この上から挟み込むようにフープを乗せます。ボルト穴に対し位置が偏っていないか、不自然に挟み込んでいないかをチェックします。

・ ボルトを装着する

テンションボルトをすべて穴にはめ、ヘッドにはまだテンションが掛からないようなギリギリの位置まで手でネジ込みます。フープとヘッドの偏りに注意しながら丁寧に作業します。

・ 粗で締める

とりあえずファンダメンタルテンションを創るためとヘッドをなじます為に均一に締めてゆきます。例を示すため、とりあえずここでは打面を時計盤に見立てて数字の位置にボルトが12本あると仮定します。

まず最初のうちはボルトを半回転ずつ、12時 → 6 → 9 → 3 、→11 → 5 → 8 → 2 、→ 10 → 4 → 7 → 1 、のように対角線を意識した順番で締めていきます。これを3,4回繰り返した時点で一度ヘッド中心を手で押さえテンションを掛けて馴染ませます。以後これを繰り返していきますがヘッドがかなり締まってきたら一回の締め回転を1/4回転、1/8回転と徐々に小さくします。

ドラムのサイズに見合う音程に近づいてきた予感がしたらヘッド上の各ボルト近辺やスウィートスポットなどを叩いて音をチェックします。私は指やチューニングキーで叩きますがスティックでも良いでしょう。このときはとりあえず均等に張るのとヘッドの馴染ませが目的なので最終音程を決定するための調整はしません。ファンダメンタルテンションをキープしたまま最終完成予定の音程よりさらに高く締めてゆきます。これは結構高いかなと思える感じで締まったらそのまままる1日放置します。演奏直前で無理なときはヘッドに軽く体重をかけて馴染ませます。また、裏面も同様にしておきます。

● チューニングする

・ 打面ヘッドの調整

音程を決めていきます。まず最初には好みの音程を優先させます。そしてだいたい目的の音になったらその近辺で微調整し音抜けするポイントを探します。音チェック時には裏ヘッドは鳴らないよう手などでミュート(※ここで言うミュートは単純に音を止めることを意味し、「積極的音加工のミュート処理」とは違う)しておきます。ここからはスティックヒットも交え、ヘッド各部をまんべんなく叩いてスウィートスポットの位置をよく確認します。極端なハイピッチやローピッチにする場合はチューニングレンジを気にしつつ行いましょう。このときもファンダメンタルテンションは保ったまま緩締は対角線調整の基本を守り作業します。

裏ヘッドを張ったままさらにそれをミュートした状態で胴鳴りポイントを探るのは難しいと思います。本来は裏をはずした状態で行うのがベストですが、作業手順的に面倒くさいので私は張ったままやっています。耳が慣れてくれば裏を張ったままでもだんだん抜ける感覚がわかってくると思います。表チューニング完成後に後から裏を張った場合、フープやヘッド、ボルトの重量が加算されるのでそのぶんの抜けポイント微調整がまた新たに必要となります。

・ 裏ヘッドの調整

まず打面側とまったく同じになるようにチューニングします。済んだら、ここで初めて両面同時に鳴らしてみます。音抜けポイントにうまく調整されていたならば、素直で音量のある鳴りを得られるはずです。微調整して音に満足出来たらとりあえず完成です。タムの場合はタムホルダーに装着した時点で鳴りが変わるのでさらに胴鳴りポイント修正などの対応が必要になります。リムズタイプ(フープ部がホルダーになっている)ならこの影響は皆無ですがパールの太パイプ型タムホルダーでは顕著です。

・ 表裏ピッチずらしによる音作り

私の場合は表裏均等張り完成でチューニング終了ですが、その先の表裏ずらしを解説してみます。打面そのままで裏ヘッドだけを弄ればリバウンドの感触はそのままに全体ピッチが変化します。裏面を締めすぎるとピッチ上昇とともに音はタイト感を増し、緩めすぎるとピッチは下がりややおかしな揺れのある音(ベンド効果、「タゥン」の感じ)も現れます。表裏のバランスしだいで全体ピッチはキープのまま好みのヘッドリバウンドを得ることも出来ます。ただ、絶対的な音量感や表現の追従性は表裏均等張りが有利だと思います。いろいろ試して好みの音を追求してみるといいでしょう。

・ 各ボルトの微調整による音作り

表裏ずらしと同様の考え方でヘッド上のファンダメンタルテンションを敢えて崩す色の付け方があります。スウィートスポットをずらすことでミュート効果やベンド効果に影響を与えられますが、打面側においてはそれこそスウィートスポットが移動するためプレイに影響が出ます。通常はタムの裏面などで行えば良いでしょう。やりすぎると折角の鳴りが損なわれるので注意したいところです。スネア打面での1本抜き(1本のみユルユルにする)が流行ったりした記憶がありますが、私はボルト緩みを嫌うのでそこまでの処理は滅多にやりません。


● スネアドラムのチューニング

スネアのチューニングはまずスナッピーoffの状態で行います。打面側は同口径のタム類に比べかなりのハイピッチにするのが一般的です。一例ではありますが私は8インチタムの標準的ピッチとほぼ同じかやや高くしています。また、裏面スネアサイドは打面よりもさらに高いピッチにします。

打面側

打面側の張り方や締める手順は通常のタム同様です。ピッチは上記のように高めにします。ヘッド種類はコーテッドかクリアのどちらかです。スネアの重低音は主に胴鳴りにより引き出すのでローピッチにしすぎないようにします。タムに比べて重量がありチューニングレンジは高い方にシフトしているので、サウンド完成時の全体共鳴を得ることのほうに気を配ると良いでしょう。一見逆に思えますが浅胴ピッコロではややローピッチでもOK、深胴ではハイピッチが美味しい鳴りを得られます。

下面側 (スネアサイド)

スネアの裏ヘッド、スネアサイドは特殊なヘッドを使います。この専用ヘッドはスナッピーが良く反応するよう極薄に造られていて、打面側に対し音程感で1〜2オクターブ程度は高くチューニングします。スネアサイドは「テン」という感じの音で聴く人によってはハッキリとしたトーンが感じられない場合もあると思います。数値的な音程差よりは音が抜けるかどうかを目標にするとよいでしょう。

裏のチューニング時にはスナッピーを本体から取り外して行うのが理想ですが、それこそ手間極まるのでスナッピースイッチはオフで取り外すことなく作業します。裏ヘッド交換までする時には取り外さなければならないので自動的に理想環境でできますが最終調整段階ではやはりスナッピーを装着して仕上げのチューニングを行います。ちなみに普通に使っていれば寿命で裏ヘッドを交換する機会は滅多にありません。

スネアサイドの音色確認には、正常天地向き状態にして底側から叩くとか、ひっくり返している場合はスナッピーを持ち上げておくとかしてスナッピーが触れないように対処します。スネアサイドヘッドのど真ん中はチェック不能なのでスウィートスポット位置はカンで判断します。音抜け確認だけなら表を叩いてチェックできます。裏ヘッドは極薄ですからスティックで強く叩くとすぐボコボコになるので注意して下さい。

スナッピー

スナッピーには大別して内面当たりと全面当たりの二種があります。内面当たりはスナッピー本体がヘッド口径よりも小さくヘッドに全体がベッタリと張り付くようにセットされます。ストレイナー機構もシンプルで調整も楽です。いっぽう全面当たりは長いスナッピーがヘッドに橋渡すようにセットされ、当たりテンションの微調整が可能ですがストレイナーも複雑な機構を持つためやや調整は難しくなります。ストレイナーパーツが重いぶん全体音色にも影響を与えます。

スナッピーのセッティングはねじれや傾きが無いよう、さらに左右の偏りが無いよう中央部に行儀良くセットします。不完全だと反応や音色に悪影響が出ます。スナッピーの本数や材質にも幾つか種類がありますが、私は研究不足のため言及を避けておきます。

チューニングの仕上げ

裏ヘッドを表と共鳴するポイントにチューンしてだいたいの音が決まったら、さらに今度はスナッピーonにしてスナッピー自体のテンションをストレイナー部の回転つまみで弄りつつヘッドも微調整していきます。スナッピーを大幅に緩締するときや音確認では適宜スナッピースイッチon、offを繰り返して下さい。ここからは打面ヒットで音チェックしてスネアの全体サウンド完成を目指します。スナッピーを締めすぎると鳴りが妨げられ音が抜けなくなるので注意です。

スネアサイド、スナッピー近辺のエッジ部ではフープがエッジにテンションをかけていないため、ファンダメンタルテンションを得るにはスナッピーそばの4本のボルトのみ若干きつくする必要もあります。またこの4本の締め具合でスナッピーの反応も変化させられます。当然単純に締めれば反応は良くなりますが新たな音抜けポイントを模索する羽目にもなります。


● ベースドラムのチューニング

ポピュラー系音楽でのBDは余韻を押さえたかなり特殊なチューニングが行われています。対してオーソドックスなJazz系音楽ではタム同様に自然な鳴りにチューンされます。以下、現在おもにポピュラーやRock系などで主流と思われる手法を説明します。

一般的なBDチューニング

ボルトチューニングはノーミュートな状態で打面側をハイピッチ程ではないが張り気味に、表はかなり緩くします。 シェル内部には、畳んだ毛布などのミュート材をヘッドに軽く接触させるように入れ、積極的なミュートによる音作りを施します。ミュート毛布を固定するのに砂袋等のオモリや金属のウェイトを使用する場合もあります。高めにチューンしてハードなミュートで高音倍音成分を一気に取り除くこの方法は、比較的簡単に上質で締まった音を得られ時間的制約がある場合好都合です。

表ヘッドの穴はもともと録音マイク挿入目的でしたが現在はミュートの一環として用いられます。当然穴が大きいほどシングルヘッドに近づき表裏共鳴の少ないシンプルな音になっていきます。穴の大きさや場所も決まりはなく自由です。穴は自分で開けても構いませんが購入時に楽器店やメーカーに依頼すると綺麗に仕上がってきます。

BDとSDの干渉によるSDスナッピーのノイズ「バズ音」には注意が必要です。通常スナッピーはonなので演奏中聴かれるBD音は常にバズと一体化して聞こえています。従ってチューニング時にはまずスナッピーoffでBDをチューンした後、新たにスナッピーonにしてみてSDと干渉させた状態の音をチェックしてみる必要があります。

私自信のBDチューニング

以下は標準からやや外れる、私がやっているチューニング方法です。 / タムホルダーがBDから伸びている場合は2度手間省略のためタムをすべて装着して行う。 / 打面はかなり緩く、ヘッドに皺が出来るギリギリ限界近辺のごく軽く締めた状態。 / 表面は打面同様かさらにそれを上回るごく緩いテンション。 / 完成トーンは低音寄り。 / ボルトチューニングを重視で原則ミュートしない。 / どうしてもまとまりの悪いときは薄めの毛布を内部からごく軽く接触させズレ防止にはガムテープを使用。 / ヘッドはクリアアンバサダーかコーテッドアンバサダー。/ 欠点は演奏中のボルト緩みに注意が必要。


● セット全体バランス

各パーツの音程差

セット中各パーツのおおまかな音程差ですが、FTとTTでは低い方からRoot→3rd→5th→7thやペンタトニック、4th間隔などありふれたイメージで音程を決める場合が多いようです。当然ドラム音には倍音も多く干渉もあるので、あくまでイメージです。気になる干渉が発生していない限り音程差も好みで良いでしょう。

スナッピーoff状態のSDは音色もピッチもティンバレスの音に近く、12,13TTの基本セット中では最も高いピッチとなります。またBDは最も低いですが音的に特殊なため他との音程差をあまり気にする必要はないでしょう。

演奏現場での全体チューニング

アマチュアの場合は、練習スタジオ備え付けやライブハウス常設セット使用がほとんどでしょう。時間との戦いになりますからそれ相応の対応が必要です。全パーツは当然セットに装着したままで問題のあるパーツの音を修正します。個別の音が決まれば完成予想をアタマに描きつつ全体の微調整に入ります。音チェックはSoloやFill系の全体音が分かり易いフレーズを用いパーツ間バランスと抜けの仕上げを全パーツ同時に一気にやってしまいます。ヘッドがへタっている事も多々あり、なんの問題もなく完成するのは希なので最終手段としてミュートも活用します。


■ ドラムヘッドの種類

ヘッドの種類などについて、おおまかな解説です。

■厚さ

メーカー大手Remo社ではディプロマット(薄)、アンバサダー(標準)、エンペラー(厚)のラインナップがあります。ごくごく僅かな違いですが厚いほどごつい音で音量増になり薄いと音量減でテンテンした感じになります。ちなみにエンペラーシリーズはディプロマット2枚重ねで厚みを確保しているのでミュート効果も若干加味されます。厚みは音色よりむしろ耐久性の違いで選択する部分が大きいでしょう。一般には癖のないアンバサダータイプの使用が多くみられます。スネアの裏ヘッド、スネアサイド用には極薄の専用製品モデルが用意されています。

■材質

プラスチックが主流で本革にやや近いものにナイロンがあります。本革をイメージした製品はやや高価です。プラスチック製は安価ながら特に欠点も見当たらず、ラインナップも充実しています。

■クリアタイプ

色が透明やブラックの表面がつるつるのタイプです。倍音の少ないシンプルなキャラを持つ基本的なモデルですが当然ブラシのスウィープ奏法はできません。

■コーテッド

ブラシワークに対応するためのザラついた表面を持つ白色のヘッドです。このタイプは普通のクリアヘッドにザラつき形成の為の材料を吹き付けて製造されているようで、その吹き付けの厚みが音色のキャラクターに影響を与えます。スネアの打面使用では最も標準的なヘッドといえるでしょう。クリアに比べやや複雑な倍音構成を持つためチューニングは若干難しくなり音色も明るい印象となります。コーティング(吹き付け)の厚さにも各社微妙に違いがあるようですが、それによる音色の違いはさすがに体感したことはありません。Remo、Aquarianは厚めEvans、Ludwigは薄めとの記事をみかけた事があり、たしかに実際Evansは薄かったような気がします。

■二枚重ね

Remo社ピンストライプ、Evans社ハイドローリックなどがあります。ハードなミュート効果を得るため2枚重ね仕様にしてあります。ピンストライプは口径よりひとまわり小さな90%程度の面積が2枚重ね、ハイドローリックは全面2枚重ねで隙間に少量のオイルが封入されています。どれもすでにミュートが施された倍音の少ないデッドな音色を持っていて、そのぶんチューニングによる色づけやプレイ時の表現の幅は抑えられます。

■ドット付き

ヘッド中央に直径半分程度の円形2重部分があるタイプです。Remo社のものはCS(コントロールサウンド)という呼称があります。こちらも2枚重ねの一種ですがあいだに隙間は無く密着して張り付けられているようです。キャラクターはややクリアに近くなりますがやはりミュートされた音です。軽いミュートが施されたヘッドと考えておけばよいでしょう。アタックが強調されるといわれているものの、経験ではチューニングや組み合わせ次第でかなり変わります。TAMA社オクタバンやPearl社キャノンタムのような小口径超深胴タムにはこのヘッドが向くようです。ドット部がブラックやミラーなどの製品ラインナップが用意されています。

その他リングミュート既装着タイプやCSとピンストライプの複合タイプなど様々な種類がありますが、やはりミュートサウンドのキャラクターの違いを追求したラインナップが多いようです。

スネアサイド以外は、どのヘッドをどのドラムに使用するかや表用裏用などの区別はありません。全メーカー共通規格で口径インチ数のみをドラムに合わせれば使用できます。BD表側の穴開きヘッドはノーマルにただ穴を開けただけのものですがメーカーラインナップにより穴あり専用モデルが用意されている場合もあります。


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