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セッティング

2003-5 , 2017-3-28更新

§ ▼基本的なセッティング方法演奏時の姿勢

ドラムセット各パーツ位置決めの方法です。

■ 基本的なセッティング方法

§§ ▼スローンベースドラムスネアハイハットフロアタムライドクラッシュペダル

図、上から見た Drum Set

パーツがあるべきだいたいの位置はメーカーのカタログや雑誌などによく掲載されているプロドラマーのセッティング写真などを参考にすればわかると思います。セッティングにもこれといった決まりはありません。ある程度上達すれば自身の最もやりやすい位置が見えてくるので自由にセットすれば良いでしょう。しかしまったくの初心者の方にとっては指標となる標準的なセッティングの情報が必要だと思います。あくまで標準的な一例としておおまかなセッティング法を紹介します。

● ドラムスローン(椅子)

演奏姿勢の要となるので丁寧にセットする必要があります。まずペダル類に足を置いてみます。股を開く角度は60度前後、フットペダルがBDに確実にロックされているかもチェックして下さい。足はフットボードいっぱいに置くのではなくボードの中央からやや手前より1/3程度のところに置くのが標準的な踏み位置になります。HHペダルも同様です。

このとき微妙に踵が浮いた状態になるよう、椅子の高さと距離を決定します。膝は直角〜110度ぐらい、腿はほぼ水平になるのが目安です。上から見たとき、椅子を中心に脚が素直に放射状に伸びるようにしましょう。

椅子の調整機構は製品によりけりですがスクリューで調整するタイプの支柱をウイングボルト(手で回す取っ手付きボルト)でロックするものか、ストレートな支柱をウイングボルトとメモリークランプ(ロッドなどをロックするためのリング)で二重ロックするものが一般的です。後者はチューニングキーが必要な場合があります。座り方は両足の自由を妨げないよう椅子の前半分ぐらいに浅くかけるようにしましょう。

● ベースドラム 【右足位置】

BDには安定設置のための一対の脚が左右からのびています。斜め前方に向け、表フープが少しだけ浮いた状態になるよう調節して下さい。機種によってチューニングキーが必要になるかもしれません。このとき脚の角度調整部ボルトが緩んでいることがあるので確認しましょう。この2つの脚とフットペダル取付部分の3点でBD本体を支えるかたちになります。

脚にはズレ防止のためのスパー(スパイク)が内蔵されている場合があるのでゴムかスパーかの選択が出来ます。ただし演奏会場やスタジオ床に許可無く傷を付けるわけにはいきませんから、マナーを守って選択しましょう。またドラムセッティング専用ゴムマット使用の場合はスパー受け部分に問題なく設置できると思います。

● スネアドラム 【股のあいだ位置】

スネアはスネアスタンドを用いてセットします。通常スタンド側の3本の受け手状のパーツで下部から挟み込むようにセットされますがこのときガッチリと締め付けないようにします。ここで締め付けてしまうとまるで別の楽器に変わったかと思うほど鳴りが悪くなります。私はほとんどのせているだけの状態でセットしていますが、それでも落ちたり動いたりすることはないのでまず大丈夫です。

高さはスネアの打面が自分のへそ位置からやや下程度になるのが基本で、角度はマッチドグリップ使用の場合は手前に、レギュラーの場合は右方向にごく浅く傾けます。自分との距離はスネアの中心が両膝を結んだ線より10cm程度奥にくるあたりがプレイしやすいと思います。

● ハイハット 【左足位置】

まずスタンドの脚がきちんと広げられているかを確認しましょう。フットボード下側の二本のはめ込み式ロッドもきちっと定位置にはめられているかチェックしましょう。また各脚やスタンド底部には前方へのズレ防止のためのスパーが備え付けられているときがあります。ゴムとスパーの切り換え式のものや出し入れ式のものがあるので、BD同様、床の状態により適宜選択して下さい。

ボトムシンバルの高さはスネアの上方15〜20cm程度が目安です。ボトムシンバルはスタンドの受け皿のような部分に単に乗せられているのみで固定はされていません。この高さの調整機構はスタンド中央部にあり、ウイングボルトとメモリークランプでの二重ロック使用がほとんどです。HHトップシンバルはクラッチというパーツにフェルトで挟むようにセットされていてこのクラッチをスタンド本体から上方に伸びる細めのロッドに通して締め付け固定します。ロッドはねじ込み式で本体下部奥に接続されているのでこのときまわしてみて緩みがないかどうかも確認しましょう。

HHトップシンバルとボトムシンバルの間隔は2〜3cmといったところです。これはペダルを踏んだときの好みで調整して下さい。また踏み心地を決めるスプリングテンションをダイアルなどで調整できる機種もあります。

HHトップシンバルのクラッチへの固定具合はクラッチのフェルト上部のナットで調整します。ここはきつく締めすぎないよう、ややルーズと思えるぐらいの方が表現力は上がります。HHトップ裏側になるクラッチ下部ナットは多くの場合たんなる固定用で調整用ではないことに注意です。

またボトム側の受け皿にはボトムシンバルに微妙な角度をつける小さなボルトが付いていますが、わざわざシンバルの噛み合わせを妨げてしまうことになるので通常あまり必要ない機構です。ごくまれにフットクローズ音強調やフットクラッシュ多用などの場合に調整するときがあるものの、そのぶんクローズのチップ音が犠牲になります。なお、噛み合わせズレで出るショット音 (ハーフオープン音) はこの機構を使わなくてもペダルの踏み込み加減で表現可能です。

● フロアタム 【右手側】

高さはスネアとほぼ同位置、角度も自分方向にスネアと同程度に傾けてセットします。自分からの距離は遠すぎず近すぎずといったところで判断しましょう。FT脚の固定ボルトは横着して雑に扱うと締め付けが中途半端になることが多いのですが、調整時に一度脚を浮かした状態で丁寧にウィングボルトを締めるようにすればガッチリ締めることが出来ます。各脚の向きは美しく放射状に広げ、自分からみて3本の位置が逆三角形となる(最も傾いている側に脚が1本)ように本体をセットすれば安定すると思います。

● タム類 【前方中央】

まずはホルダー部の高さ調整をします。BDが下方にあるので極力低くする場合でもタム本体がBDには接触しないようにする必要があります。多くの機種ではBDから伸びたタムホルダーという支柱でセットされていて、高さ調整はBD側にあるタムホルダー固定部で行います。ここもウイングボルトとメモリークランプの二重仕様が一般的です。高さと同時にタムホルダー自身の向きも調整しましょう。

つぎに角度調整ですが、まずタムホルダー自身の機構でおおまかに縦方向の傾きを調整し、その後タム側のタムホルダー固定部で自分とタムの距離、向き、角度の微調整をします。高さの目安は最も大きいタム下部とBDとの距離が4〜5cmになるような位置を基準に残りのタム打面が揃うように、また角度は15〜30度程度でSDよりやや深く手前に傾くようにすればいいでしょう。距離はタムホルダーをタム内部に突っ込みすぎると大概遠すぎとなってしまうので、スネアから一段外周にあるイメージで自分から見た円周上に配置すれば良いと思います。

● ライドシンバル 【右前上方】

右側タム奥あたりに20〜40度程度の角度をつけてセットします。距離と高さは他のパーツに接触しない範囲でまったくの自由です。手を自然に伸ばした状態で楽にプレイできる位置を見つけて下さい。シンバルのカップ部を無理せずショットできる位置が目安となります。シンバルスタンドはおもにストレートとブーム(腕)付きの二種があって、ともに調整機構はノーマルなウイングボルトかチューニングキー使用です。

上端のシンバル取り付け部はウイングナットが使われます。ここのフェルトはシンバルを締め付けないよう軽く触れている程度のゆるゆるで構いません。HH以外のシンバルは常に全開で揺れるようにしておきましょう。アマチュア向けスタジオではシンバルの揺れを押さえたいのかよくこのナットを逆さにつけているのが見受けられますが、わざわざ割壊すためにショットしている状態となるので絶対に避けましょう。スタンドの脚は45度かそれよりやや広げる程度で最も安定すると思います。

● クラッシュシンバル類 【左前上方、右手上方その他】

角度は水平〜20度程度で、一枚のみ使用の場合はスネア前方奥にセットするのがポピュラーです。高さはタム上方30〜50cmといったところですがライド同様まったくの好みです。距離も同じく楽に届くかどうかで判断します。使われるスタンドもライドと同様のノーマルなものでHH以外のシンバルには通常特殊なスタンド使用はありません。複数セットする場合には、2枚目は右手側、それより増えれば残りの空き位置に自由にセットされることが多いようです。

● フットペダル

BDフープへの取り付け機構はウイングボルトで締めるものがほとんどですが、ウイングの場所が取り付け金具近辺だったり脇に出ていたり上部だったりと製品モデルごとに差があります。底部にはHHスタンドと同様なスパーが装備されているのでこれもチェックしましょう。最近では非常に多彩な調整機構を持つ製品が増えてきました。最初はあまりに調整部が多すぎてとまどうと思いますが、とりあえず必須な調整項目はスプリングテンションとビーター長さです。

スプリング

踏み込み時のテンションを調整します。通常右支柱に沿うかたちになっています。手回しナットで調整を行いますが、一部のモデルではレンチが必要なので注意しましょう。目安はペダルに力が加わっていないときに、やや軽くスプリングが引っかかっている程度が良いと思います。慣れてくればまったくの好みで構いませんが、強すぎると無駄な力を消費する上にリバウンド制御が困難になります。

ビーター長さ

ヘッドへのヒット位置を決める調整ですが若干踏み心地にも影響します。まずはBDヘッドほぼ中央を打てるよう長さを調整しましょう。ビーターは付け根のイモネジで固定されていてチューニングキーで緩締します。ヘッド中央部の鳴りの美味しいポイントをスウィートスポットと呼びますが、たった1〜2センチの差がサウンドに大きく影響します。ただしハードなミュートを施している場合これによるサウンド変化は緩慢です。踏み心地に関しては極端な長か短にしなければ問題はないでしょう。この重心変化を軽減するためのオモリがビーターロッドに装備されている製品もあります。

その他フットボードやビーターのアングル調整など、そこそこ慣れてからはいろいろと実験してみると良いでしょう。また、迷った時は基本に立ち返ってみましょう。

ペダルのビーター取り付け部はスプロケットと呼ばれ真円タイプと偏心カム(オーバル)タイプの二種があります。真円は駆動時の踏み込みに対してのビータースピードが素直な反応をしますが、オーバルタイプはヘッドをヒットする瞬間にむけてビーター先端の速度が徐々に上がる設計になっています。オーバルの形状にも各社製品ごとに微妙な違いがあります。オーバルはパワー感はあるものの癖がありダイナミクスコントロールに劣る印象です。

ペダルに関しては慣れの部分が大きいので、上達するにつれどれも大差なく踏めるようになると思います。自分はYAMAHAの820を主に使用していますが、最も好みなのはdwですし、その日の気分によってTAMAのベルトオーバルを使ってみたりします。邪道ですがライブハウスなどでは備え付けのものをお借りする場合も多いです。それぞれの癖を読んで使ってあげれば特に問題はないでしょう。


● 自分にとってのセッティング

私にとってのセッティングとは心理的な安心を得るための保険のような意味合いも含みます。不安要素を極力排除することで最も大事な部分に精神集中できるよう、また完璧にしておいてミスの言い訳をセッティングの所為に出来ないようにします。ついでに構成表や楽譜も同じ意味合いから手元に置いておくことが多いです。演奏中に細部までの読譜することはありません (というか読譜は苦手なので出来ません) 。


■ 演奏時の姿勢

一般に模範的といわれる姿勢はやはり背筋は伸ばして脇は広げすぎず…、というふうに説明されることが多いと思います。しかし過去プロアマ問わずいろいろと拝見させて頂いた上での結論としては、上手いと感じるプレイヤーの姿勢は背筋真直から猫背まで千差万別です。その人なりになんとなく格好よく見える動きが良いフォームであるといえる気がします。

上手いドラマーの共通点: 力んでいない。音ではかなり複雑高度なプレイでも見た目はごく簡単そうにこなす。
上手くないドラマーの共通点: ごく簡単なフレーズの場合でも、見た目では凄いことをやっているように感じる。不可能であろうと思える動きにチャレンジしている。

姿勢というものはプレイを追求した結果が表面に現れているものであって、最初にフォーム在りきではない、と考えます。自分のフォームが堅いと感じたらショットの基礎練習から見直せば良いでしょう。


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