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ドラムセットとは

2003-5 , 2017-4-15更新

§ ▼ドラムの構造シンバルの構造基本4点セット基本セット以外のパーツ

ドラムは筒状の胴に皮を張ったシンプルな打楽器です。複数のドラムとシンバルを同時にひとりで演奏できるようセットしたものがドラムセットです。以下は楽器の構造的な解説です。

■ ドラムの基本構造と各部名称

図、ドラム(Drum)本体断面

上図は真横から見たドラムの断面です。

● シェル(胴)

筒状の本体部分で材質は木製(メイプル、バーチ、ビーチetc.)、金属(スチール、ブラス、アルミ、コパー、チタンetc.)、ファイバーなどです。木製の物は通常幾枚かを重ねた(これをプライ数と呼ぶ)ベニヤ板状加工で6プライとか8プライあたりが一般的です。やや高価な一枚のみの単一プライモデルは「単板」と呼びます。さらに高価なものには丸太をくりぬいて作る継ぎ目のない「くりぬき胴」もあります。外側表面はラッカー仕上げ、ポリウレタン加工、フィルムのカバリングなどです。

皮は両面張り、片面張りともにありますが、共鳴による効果を得ることの出来る両面張りがポピュラーです。片面張りは倍音の少ないシンプルな音色で音程感が強調されます。「皮 (ヘッド)」と接触する部分はエッジと呼ばれ先端に行くほど薄くなる形状になっています。また一時期は廃れていた「レインフォースメント」と言うリング状の補強材をシェル内側に張り付けているタイプもあり、これは昔は真に補強目的だったものが現在では音のキャラクターの違いを狙って仕様を復活させているようです。

● ヘッド(皮)

張ってある皮のことをドラムヘッドと呼びます。材質は現在プラスチック製が主流でやや高価な物にナイロンなどがあります。今ではまず見かけませんが昔は本革製だったようです。ヘッドは金属製のフープ状リングに周囲を装着された状態で販売されていて、この金属製リングをシェルのエッジに引っかけ後述の「リム」で挟み込んでドラムに張ります。これを締め付ける「テンションボルト」を調整することで張り具合を変えチューニング(=調律、すなわち音程の調整)を行う仕組みです。

種類には大別してコーテッドタイプ(白くてざらざら)とクリアタイプ(透明だったり黒でつるつる)があります。コーテッドはもともと本革の代用で、Jazzでよく聴かれるヘッド表面をブラシという特殊スティックで擦ってザァーザァーと音を出す奏法に対応するためにあるタイプです。ヘッドは音色のキャラクターに最も影響を及ぼすパーツで、その製品ラインナップも多くなっています。

● リム(フープ)

ヘッドを押さえつけるためのリング状のパーツです。テンションボルトを通すための穴がラグの数に応じて空けられています。材質はスチールかブラスが一般的ですが最近になってオールド復刻仕様のごつい木製フープも登場しているようです。

金属製には標準的なプレス加工のものと重厚なダイキャスト製法の物があり、ダイキャストはボルト締め付け時のより強いテンションに耐えられます。この違いは音色にもかなり影響し、プレスものは胴鳴りを生かす素直な感じですがダイキャストはガチンというイメージの音がプラスされてしまいます。デフォルトから交換する際にはシェルとの相性も考慮しましょう。

● ラグ(舟型)とテンションボルト

リムを用いてヘッドを締め付けるためのネジ状部品がテンションボルト、その受け側パーツをラグと呼びます。テンションボルトのアタマの形状は特殊な四角い突起で、緩締するにはチューニングキー(ドラムキー)と呼ばれる専用ドライバーを用います。このボルト形状の規格はほぼ全メーカー共通で、チューニングだけでなく一部のスタンド角度調整やフットペダル調整などのハードウェア(ドラムの世界ではタイコ本体とシンバル以外のパーツをハードウェアと呼ぶ)調整もチューニングキーひとつでおこなえる便利なものです。チューニングキー形状はSonor社の一部とDW社の一部が共通規格外です。


■ シンバルの基本構造と各部名称

● シンバルの構造

図、シンバル(Cymbal)断面

シンバルの材質はベルブラスと呼ばれる銅、錫、銀の合金で、配合比の詳細はメーカーそれぞれに企業秘密となっているようです。製法には大別して材料インゴットをプレスして成型する伝統的なキャストシンバルとシート状にのばした材料を型抜きして作るシートシンバルがあります。後者は安価に製造できるためアマチュア向け製品に多くみられ、多くは耐久性も低いようです。なお、シートシンバルでもパイステ社中上級シリーズは例外的に上質です。

一般的なシンバルには音を得るための加工処理の結果として表面に同心円上に刻まれた多数の溝 (音溝) とハンマーで叩いた跡があります。なかにはわざとこの処理を行わず個性をもたせた製品モデルもみられます。またハンマー処理も手作業のものと機械打ちのものとで大別できます。ルックスを重視したラインナップのなかには最終仕上げとしてプラチナメッキや青や赤のコーティングを施した製品もあります。

音に関しては好みと用途により選択します。一般にJazzではダークな音色、Rock,Popsでは派手な音色が好まれていますが決まりはありません。用途やサイズだけでなく音色の違いをもとめた多種多様な製品ラインナップがあり、さらに同一モデルでも個体差による音の違いが生じやすい楽器とされています。シンバルの音は複雑な倍音構成で成り立っていてハッキリとした音程はわかりづらいので、よくいわれるシンバルのピッチとは「基音も倍音もすべて含めた音全体でのアバウトな音程」と捉えておけばよいと思います。

● サイズや製造法による音の違い

サイズ違いや製造法の違いによる音のおおまかな傾向。

  • サイズ大 : 音量大、低域倍音増、余韻長
  • サイズ小 : 音量小、低域倍音減、余韻短
  • 厚い : ピッチ(音程感)高
  • 薄い : ピッチ低
  • ハンドハンマー : ダーク、ドライ、奏法の追従性高め
  • マシンハンマー : 派手、キラキラ、奏法の追従性やや低め
  • キャストシンバル(インゴットから製造) : 耐久性高め、ダイナミクス広め、表現力高め
  • シートシンバル(シートから製造) : 耐久性やや低め、音の均一感高め

さらに、メーカーやモデルごとによる違いも大です。

● メーカーごとの違い

メーカー別によるキャラクターのおおまかな傾向。

Zildjian (ジルジャン、USA)

ややダーク系。上品な音の質感。オールジャンルに向く傾向です。ハンドハンマーは「K」、マシンハンマー全ジャンル向けは「A」、マシンハンマーRock向けは「Z」といったモデル名でラインナップは多岐に渡ります。もともとはトルコ発祥の現在最大手メーカー。

Istanbul (イスタンブール、トルコ)

ダーク系。Zilよりさらに上品な音の質感。スティックワークへの追従性は高くJazzには向いているでしょう。Zildjianのハンドメイド部門の一部が分かれて設立されたメーカーのようで、製品的にはこちらが正統派の本家Zildjianともいえます。基本的にすべてハンドハンマーハンドメイド。近年創始者アゴップトムルクック氏逝去によりAgopとMehmet (創始者メメットタムデール氏) の2流派に分派したようです。

Sabian (セイビアン、カナダ)

やや派手系。安定感あり。比較的Rock,Popsに向くと思います。ハンドハンマー「HH」、マシンハンマー「AA」のモデル名。こちらもZildjianの系統を受け継いでいて日本人には人気が高いメーカーです。安定した音色が出せますがそのぶん表現力は甘めの傾向です。

Paiste (パイステ、スイス)

派手系。きらびやかな音の印象。かといってコントロール性も低くはなくオールジャンルに向いています。高グレードの製品の中にもシートシンバルを採用。クオリティ高。ラインナップ多。Zildjian系統とともに現在世界的2大勢力を形成していて、尖っていながら堅実でもあるメーカーです。

● 奏法による音の違い

ドラムセットプレイでのシンバルの奏法はごくごくおおまかには3つが挙げられます。

  • クラッシュサウンド、「シャーン」: エッジやエッジ周辺部をスティックショルダーで叩く。
  • ピングサウンド、「チン」: 表面をスティックチップで叩く。
  • ベルサウンド、「カン」: カップを叩く。ショルダー、チップともに使用。

■ 基本セット(4点セット)と呼ばれているドラムセット

図、Drum 4点セット全景 図、上から見た Drum Set

一般に基本セット(4点セット)と呼ばれているドラムセットを解説します。

§§ ▼1. スネアドラム2. ベースドラム3,4. タムタム5. フロアタム6. ハイハット7. クラッシュ8. ライド9. フットペダル10. ドラムスローン

● ドラム類

1、Snare Drum (SD、スネアドラム、スネア)

俗に言う小太鼓です。好まれる製品モデルの傾向はありますがマーチングバンドなどで使う物と同じです。裏の打面でない側(SDの場合、特にスネアサイドと呼ぶ)にはそのヘッドの外側に密着するようにスナッピーと呼ばれる金属製の響き線(20本前後の細かいコイル状の金属線を水平に並べてある)が張られていて、これがスネア特有のざらざら音色を生み出す特殊な構造になっています。スナッピーはストレイナーと呼ばれる部品でシェルに取り付けられていて、大抵の物はストレイナー部のスイッチによりスナッピーサウンドのオン、オフが可能です。スネアサイドはヘッドもチューニングも特殊で、専用の極薄ヘッドを用い音程も打面に比べ遙かに高くチューニングします。

口径は14インチが標準です。90年代から流行している小口径のモデルには、13、12、10などがあります。逆に大口径のモデルは一般的でないようです。深さ(縦の長さ)はかつて5.5インチや5インチが標準とされていましたが多様化が進むにつれて6.5も標準と呼ばれるようになっています。Jazz系では5.5、Rock系では6.5がポピュラーです。8インチも存在しこれ以上は「深胴(ふかどう)」、逆に3.5や4インチのものはピッコロスネアとか浅胴と呼ばれます。全体サイズが大きいほど音量が大きい方にシフトする傾向にあり、胴が深いほどスナッピー音のショットに対するレスポンスが鈍くなるといえます。これらはサウンドキャラクターの違いで使い分けることになりますが普通は14×5.5が1台あればオールマイティーに対応できるでしょう。

一般にはウッドが硬めでシャープな乾いた音、メタルが太く丸く暖かい音、で、これらは材質の持つ均一性で決まるようです。最も硬めな音はメイプルでウッドスネアではメイプル製が主流です。ビーチ、バーチがこれに次ぎ、やや音が広がった印象をもちます。メタルではスチール製がメジャー且つ安価ですが、音は値段で決まる訳ではなく、良質な暖かいキャラを持っています。大音量で派手なのがベルブラスやブラス製でピッコロスネアに使われることが多いようです。チタン製は非常に高価です。

ウッドに関してはシェル自体の「厚さ」(深さでない)も重要な要素です。薄ければ音量幅が広くなって音の表情もコントロールしやすいですが最大音量の絶対値は押さえられます。反対に厚ければ音量幅は狭くなりつつ大音量側にシフト、太い音色になり安定感が増しますがごく小さいピアニシモでは抜けた音が出せません。また、厚胴を楽器の持つ美味しいポイントで鳴らすには技術が要求されます。

繊細な表現力を追求するJazz系では14×5.5以下のサイズでウッド製が好まれ、2拍4拍のバックビートを常に強調するRock系では14×6.5や14×8などが使われたりします。が、特に決まりがある訳ではありません。

2、Bass Drum (BD、ベースドラム、ベードラ、バスドラム、バスドラ)

セット中では大太鼓ともいえるドラムです。PA屋(音響屋)さんの中には「キック」と呼ぶ人間もいます。ビーターの付いたフットペダルというものをフープ最下部に装着し、通常右足でこれを踏んで演奏します。両面張りが一般的ですが、マイク録りの都合やチューニングテクニックの延長でオモテ面(打面でない側)のヘッドには穴をあけた物を使用する場合も多くなります。材質はウッド製シェルがほとんどで希にファイバーやアクリル製もあります。BDだけはフープもウッド製であることが多いようです。

口径サイズは標準が22インチです。Jazzでは20や18、Rockやビッグバンドでは24、26などが好まれたりします。深さに関しては14インチが標準としたものだったのですが、16インチももはや一般となりつつあります。

ポピュラーミュージック全盛の現在ではBDもチューニングレベルで結構特殊な音づくりをします。Rock系音楽でよく聴かれる「ダ」「タ」といった音にするため、通常の太鼓より相当緩く(音程を低く)チューニングします。スネア、タム系にはミュートといって倍音をカットする目的でヘッドにガムテープなどを張り付ける細工を行うことがありますが、これに加えBDでは太鼓内部に畳んだ毛布などをヘッドに接触するように入れてよりハードにミュートする方法が多く用いられます。

また前述したように、片面張りサウンドに近づけ共鳴を押さえるため大きな穴をヘッドに開けたり、さらにはヘッドごと表を取っ払ったりする場合もあります。また反対に古典的スタイルのJazzではとくに変わった細工はせず、BDをタムの延長ととらえて「トーン」や「ドーン」といったノーマルな両面張りの太鼓らしい音で使用したりもします。

3,4、Tom Tom (TT、タムタム、タム)

空中に浮かせた状態で、専用スタンドを用いてセットしてあるドラムの総称をタムタムと呼びます。4点セットの状態では図の3をハイタム、4をロータム、またタムが全部で3つある場合は真ん中をミッドタムと呼んだりしますが具体的サイズを指すわけではありません。4点セットの「4点」とは「TT2つ、FT1つ、BD1つ」の4つを指し、「TT1つ、FT1つ、BD1つ」では3点セットと呼びます。タムを幾つ使うかはプレイヤーの好みで通常は1〜3個といったところです。10個でもいけない訳ではありませんが、実際の現場ではマイクスタンドとかも増えるため空間の使い方には配慮が必要です。

タム類は普通に「トーン」という音です。材質はBDと同じくウッドが主流です。ヘッドは両面張り片面張り両方があって片面のモデルはメロタム(メロディックタム)といったりします。

口径サイズは標準でも、6,8,10,12,13,14,16と多くの種類が用意されています。基本4点セットに使われるのは通常12と13インチのものです。13というイレギュラーサイズ(ドラムは何故か偶数インチがメジャー)の存在は、かつてのスタンダードであった3点セット中の13インチタムの名残であるのが理由のようです。深さについては口径のマイナス2インチあたりが標準的です。口径と深さが同じものはスクエアタイプと呼んだりします。

5、Floor Tom (FT、フロアタム、フロア)

タムタムのなかでも自前で脚を持っていて他にスタンドを使うことなくそのまま床にセットするタイプのものを特にフロアタムと呼びます。基本構造も音もタムと同じなので大きめサイズのタムと考えて差し支えありません。脚は3本あり長さ調整可です。

口径サイズは14,16,18あたりが標準で基本4点セットのものは通常16インチです。深さは脚を装備する関係からかタムよりも若干深いものが主流となっているようでスクエアサイズなものが多い印象です。基本セットはフロアひとつですが自分専用のセットを使うドラマーはフロアふたつ仕様が多かったりします。またフロアを廃し、この位置に大口径のタムをスタンドでセットしたオールタムタムセッティングも見かけます。

● シンバル類

6、Hi Hat Cymbal (HH、ハイハットシンバル、ハイハット、ハット)

ハイハット専用スタンドを用いて脚で踏み鳴らすように設計された合わせシンバルです。スティックでも叩くということを昔は想定していなかったためにドラムセット黎明期のHHは高さ40cmぐらいの足踏み専用であったようで、これを改良し高い位置に持ってきたのが現在のハイハットです。音は「チチチ」とか「シャーシャー」とか、Rockの刻みやJazzのレガートでよく聴かれます。クラシックなどでは単体パーカッションとして使う場合もあるようです。

サイズは14インチが標準です。大きい方で15、小さいのは13,12。10以下もありますがこれより小さいと音の印象が変わるのでエフェクト的なアイテムとしての使用が多くなります。上側の叩く方をTop、下側をBottomと呼び、それぞれ専用の製品ラインナップとなっています。同じ製品モデルではBottomがやや厚い造りをしていますが、わざと欲しい音を得るために上下を入れ替えたりしても支障はありません。

HHは楽器として奥が深く、スティックワークに加え「踏み方、踏み加減」という要素が加わることによる多彩さは強力です。ドラムセットの中でも表現力は最も高い部類だと思います。

7、Crash Cymbal (C、CC、クラッシュシンバル、クラッシュ)

「シャーン」というクラッシュサウンドを主に得るためのシンバルをこう呼んでいます。が、「厚さが比較的薄めのシンバル」の総称と思っておけばいいでしょう。用途はクラッシュサウンドに限ったことでは無いので自由に使えば良いと思います。このシンバルはスティックのショルダー部でエッジをヒットすることが多いのでふつう水平〜20度前後の浅い角度をつけてセットされます。スタンドはふつうに「シンバルスタンド」と呼ばれるものを使います。セッティングする枚数も自由です。

基本セットに組み込まれるサイズは16か18インチが多いですが決まりはありません。ラインナップは14〜20ぐらいまであり、6〜13あたりまでの小サイズを特に「スプラッシュシンバル」と呼んで区別します。当然ながらサイズが小さくなるほど音の余韻は短くなり音量は下がる傾向です。

8、Ride Cymbal (R、RC、ライドシンバル、ライド)

「チンチン」というライドサウンド(ピングサウンド)を得るのが主目的のシンバルです。こちらは「厚さが比較的厚めのシンバル」と考えればよいでしょう。これも用途に決まりはなくライドシンバルでクラッシュ音を出す場合も多々あります。ポピュラーなセット場所は前方やや右上方。セット角度は45度あたりからほとんど垂直状態まで人それぞれです。Rock系1タムのプレイヤーではこの場所の低位置にほぼ水平で設置したりもします。

ライドサウンドを得るにはスティックのチップ部でシンバル表面をふつうにヒットします。Jazzで俗に「チンチキ」と形容される音です。サイズは20インチを標準として、他に18,22,24などです。ライドシンバルは特殊な表面仕上げや音溝無しなどメーカー各社様々な工夫を凝らした個性的なモデルがラインナップされています。

※トップシンバルやサイドシンバルの呼称

Jazz界から受け継がれる伝統ではライドを最も高位置にセットする場合が多かったためライドのことを「トップシンバル」と呼ぶ場合が多くみられます。対し「サブのもう一枚」の意味でクラッシュを「サイドシンバル」と呼んだようです。セッティングによってはトップ位置にライドが無いこともあるので、その時々の状況に応じて呼称を解釈すれば良いでしょう。


● その他、ハードウェア

9、フットペダル (ドラムペダル)

BDを叩く為のビーターを備えたペダルです。BD打面フープ下部に挟み込むように装着して使用します。ペダル面を踏み込むとチェーンまたはベルトで接続されたカム部を引っ張り回転させ、ビーターシャフトが振り上がり打面をショットする、という仕組みです。ペダル面の戻り動作はスプリングを使っています。比較的複雑な構造をもち、近年のものは各部の調整機構も充実しています。「ツーバス」と呼ばれるツインBDセッティングと同様の奏法を一つのBDで実現する為の「ツインペダル」という製品モデルもあります。

演奏時のシューズについては特に専用品があるわけではありません。好みの運動靴で良いでしょう。上達するにつれなんでもよくなってくると思います。自分の場合は靴を脱いで靴下か裸足で演奏します。

10、ドラムスローン (椅子)

ドラム椅子のことをスローンと呼びます。座り方は浅くかけるのが一般的です。形状は円形が標準で、高さは当然調整可能です。最近ではサドル型や背もたれ付きなども登場しているようです。私はノーマルの円型が好みです。腰の安定度は重要なのでスローンは良いものを選びましょう。

スタンド類

タムホルダーはBDシェル本体上部に突き刺すように固定され、タム2個まではこのホルダーにセットすることがほとんどです。シンバルスタンドはストレート型とブーム付きの2種があり好みやセッティング状況により使い分けます。基本セットには含まれませんが、タム3個以上になる場合は独立したタムスタンドを使用します。多数の取り付けブームを配置出来るラックシステム製品もあります。


■ 基本セット以外のパーツ

その他のオプション的に追加される楽器の解説です。

● エフェクト系シンバル

・チャイナシンバル

「カッ」というGong(銅鑼)を模したトラッシュサウンドを得るためのクラッシュシンバル。エッジ付近が反り返った特殊形状。多くの場合スタンドには裏向き逆さ付けにし、反りの山部分をスティックショルダー/ボディでショットして演奏します。サイズは16〜20インチ程度。製品ラインナップはかなり多彩です。特例的に8と10インチの小径モデルが「チャイナスプラッシュ」名称で製品化されていて音は「チャイン」の感じ。以前販売されていたジルジャン社製品名「スイッシュ」もチャイナシンバルの1種。

・スプラッシュシンバル

小径薄めのクラッシュシンバルの呼称。サイズは6,8,10,12インチ。形状は普通のクラッシュと変わらず、音は「カシュ」。音量は小さめ。ドラムセット中に追加するエフェクトシンバルとしてはポピュラーな位置づけです。スプラッシュタイプはどんなにうまく鳴らしていても中心部取り付け穴から徐々に割れてくるので消耗品的な扱いです。

・シズルシンバル

小さなリベット(鋲)を表面エッジ付近に緩く打ち込んで、その震える効果で非常に長い余韻を得られるようにしたシンバル。特定のシズルシンバルモデル製品が決まっている訳ではなく、多くは任意のライドシンバル製品を改造します。リベット数も2〜8ぐらいで様々。リベット材質や大きさも自由。ベースになるシンバル種にも決まりはありません。

シズルシンバルとは呼ばれませんが、普通のシンバル表面にスタンド取り付け部から洗面台の鎖を垂らしてセッティングすればシズルサウンド同様の音が得られます。

・重ねシンバル

「カー」という余韻長めのチャイナサウンドを得るため2枚重ねを使う場合もあります。多くは20〜18前後のクラッシュ/ライドを下側、18〜14前後のチャイナを正常向きで上側、にして、そのまま重ねて普通のシンバルスタンドに通常どおりセットします。状況により2枚の間に薄めのフェルトを挟むこともあります。以前「ピギーバック」の製品名で重ね上側専用シンバルが販売されてもいました。

重ね用途にはひびの入ったシンバルが再利用できます。ひびの先端にはドリルで小さな穴を開け割れの進行を食い止めておきます。

・その他のシンバル

銅鑼、アイスベル(カップ部分のみのシンバル、音は「カン」)、アンティークシンバル、など、欲しい音に応じて色々です。

● カウベル、カウベルホルダー、タンバリン、ウッドブロック

カウベル、タンバリン(皮なし)、ウッドブロック(樹脂製/木製)など、ドラムセット中で使用されることの多い一部のパーカッションには垂直ロッド状スタンドへの取り付け金具を持つ製品があります。カウベルはカウベルホルダーでSD右脇のBD直上にセットするのがポピュラーです。カウベルホルダーはBDフープに取り付けます。カウベルホルダーのロッドにはタンバリンやウッドブロックをセットすることも可能です。

● ツインバス、ツーバス、ダブルバス

2台目のBDを左足位置に追加するのがツインバスセッティングです。その際HHスタンドは脚を折りたたみ2台目BDペダル左に並べてセットし、BDフープやラックシステムにクランプで固定します。

● ツインペダル

1台のBDを両足で踏める機構を持つフットペダル製品がツインペダルです。ビーターは2つあり左操作はシャフトにより伝達される仕組みです。左ペダルはHHスタンドフットボード右に並べて設置します。

● 2台目のスネア

2台目のスネアをセットすることもあります。多くはHH左位置、1台目と同じ高さにスネアスタンドでセッティングすることが多いようです。口径14浅胴ピッコロとか口径10深胴ピッコロなどが使われたりもします。

● 各種パーカッション

一般のパーカッションをそのまま組み入れます。HH左にティンバレスやボンゴ、FT右位置にティンパニ、など様々です。

● メロディックタム

打面側のみ片面ヘッド仕様のタム。音は「トゥン」寄り。両面タムのセットに追加することもあれば、タムをすべてメロタムで揃えることもあります。

● オクタバン、キャノンタム

小口径超深胴片面ヘッドタム。音は「ポヮ」に近く特徴的。現在ある製品の口径はすべて6インチ固定。ヘッドはCSタイプを使用。TAMA社 「Octoban」 口径6インチ、 深さ280〜600mm 8種。Pearl社「Cannon Toms」 口径6インチ、 深さ12,15,18,21インチ4種。普通はいくつかを追加で組み入れて使用、タムをすべてオクタバンにすげ替えることはあまり行われないと思います。80年代以降のSimon PhillipsとStewart Copelandの使用で有名。

● ロートタム

セット組み込み用のフレームドラムの1種。音は「パ」寄り。Remo社製品「Roto Toms」 、Pearlが国内販売。口径は6,8,10,12,14インチ。胴はなく金属フレーム状エッジ部とフープで単体ヘッドを挟み込む構造。片面ヘッド。フープ枠ごと回転させることで瞬時にピッチ変更が可能。ヘッドはドラム用がそのまま使用可能、主にCSタイプ。80年代以降のTerry Bozzioが使用で有名。

余談: ロートタムのフレーム部を単体流用した様な「スポークス」というRemo社の製品があります。音は「チコカチン」。エフェクトシンバル的な感覚でセッティング。Terry Bozzioが使用。

● リモートハッツ

ペダル部とHHシンバル本体部が分離していてワイヤ伝達で操作するハイハットスタンド製品です。左足踏みままで右手位置にHHを設置できます。現在はあまりポピュラーでは無いようです。

● エレドラ、トリガーシステム

電子ドラムパッドいくつかを追加する場合もあります。パッドと同様の働きをするトリガーセンサー製品をアコースティックドラムのヘッド上やリム付近やシェルに取り付けることもあります。当然音源含め電子ドラム機材一式のシステムが必要です。


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