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プレイヤーのための聴覚能力考察

  ==== Rivabyss Groove Workshop ====  2006/Apr (2006/Sep 更新)

既に述べているように私は頭脳の働きも含めた総合的な耳の能力こそがプレイヤーとしてセンスがあるかどうかの決定的差の要因と考えています。また、近年の医学的研究では「耳音響放射」という内耳(蝸牛内)の物理的音量増幅機能の存在も確認されているようです。この能力も含め聴覚機能の視点から我々プレイヤーが音楽的にレベルアップするヒントを考察してみます。

ページ内 Index: ●耳音響放射 ●左右の耳の働き ●周囲の音が見えなくなる時があるのは何故か ●鍛錬法

耳音響放射(OtoAcoustic Emissions : OAE , David Kemp)

まず「耳音響放射」については以下に詳しい記述があります。

※参考 ≫

■日経 Beyond Discovery
「内耳が発する音」
www.nikkei-bookdirect.com/science/beyond-discovery/ear/09.html

■今日の必ずトクする一言 www.tomoya.com/
「嗚呼、ヒトの耳は歪んでいるのか!!のナゾ」
www3.coara.or.jp/~tomoyaz/higaax06.html#060304

■山形大学医学部耳鼻咽喉科・頭頸部外科
「耳から出る音」
www.id.yamagata-u.ac.jp/OLG/contents/sound.htm

■ 耳音響放射とは

要約すると、「蝸牛内の音を感じる毛は外界から振動を受けるだけでなく自発的能動的に振動させることが可能」、だとのことです。メインで音を感じる内有毛が揺れると付属の外有毛が揺れだして音量増幅、その信号は内有毛⇒神経と上りで伝わった後さらに下りの神経⇒外有毛とフィードバックしてまた外有毛を揺する。そのレイテンシは2〜30ms。即ち耳は物理的に音を発することが可能。…というにわかには信じがたい現象が確認されているようです。

つまり耳はマイク機能に加えてアンプとスピーカの機能も併せもっていて、我々は常にこの体内アンプで増幅しつつ音を聴いていることになります。それどころか各人が音を知覚した時点ですでに超主観的設定(しかもパラメータコントロール可能)のマルチバンドコンプやパライコ、ノイズサプレッサー、プレイバックサンプラーまでが噛まされているわけです。ようするにいつなんどきでも音は自分で選んで聴いている。世の中の音世界はじつは我々が思っているよりよっぽど小音量でS/N最悪なものなのかもしれません。

さらには、我々自分自身の脳が意識無意識にかかわらずOKを出しさえすれば幻聴でも耳鳴りでも空耳でも自己の耳の中で本当に鳴らして聴くことさえ可能ということになります。日常我々が、聴き取りにくい雑踏の中の声を正常に認知したり、近年の電話、MD、mp3などの非可逆高圧縮音を自己補間で正常音の如く聴いてしまうのもこの能力が関係しているとのことです。
また、耳鳴りの「発生−持続−消失」過程がまるでハウリング同様に聴こえる(少なくとも私は)のも、片耳だけだったりするのも、この説だと納得がいきます。耳鳴りはおそらく静寂時脳が注目すべき音を見失った場合の神経エラーか何かによる誤増幅なのでしょう。


プレイヤーでない方々からよく「ドラムの上手下手なんて正直よくわからない」なんていう声を耳にしますが、耳音響放射を考えればその感想は確かに的を射ていることになります。慣れていなかったり理解し得ない音は脳が増幅しようとしないので、その方々には他の楽器音に比べてドラムの音が実際に小さかったり不明瞭に聴こえているのでしょう。
このことから音や音楽の評価に思い込みや趣味性から来る個人差が強く現れるのもよくわかります。脳が過去の記憶を頼りに音補間していると考えれば慣れ親しみのない音楽は音像がボケていたりダイナミクス減で迫力なく聴こえているのかもしれません。

■ 私の経験からいえる実例

以下私の経験談です。耳音響放射の裏付け的なものを挙げてみました。

・ 「耳のフォーカスが効く」

これは結構当たり前にわかると思います。鍛えればアンサンブル中目的の音にピントを合わせることが容易になるとともに、逆にノンフォーカスで全体をフラットにひっくるめて聴いたり、ライブではホールからの返り音のみ聴き分けることも出来ます。また自分でつくづく実感するのは、耳が鋭くなるにしたがって時間的分解能がどんどん上がっていくことです。結果グルーブコントロールや難解複雑なフレーズ理解に好影響します。

面白い例は、スローン足下の床に置いた小さな電子式メトロノームを内蔵スピーカで発音させそれに合わせ生ドラムを叩いても、SD等アタックにマスキングされない部分ならその極小音量のメトロノーム音が同期演奏に耐えられるほどしっかり聴き取れることです。アンビエント部でさえかなりの音量がドラムから発せられているにも関わらず、です。しかもこれは自分の腕が未熟な頃には気付かなかったし解らなかった事象です。

・ 「耳スキル上昇に伴いすべての音がうるさく感じるようになる」

爆音避けは単に歳の所為かとも思ってましたがどうやらそうでもなさそうです。今も聴感の衰えは感じるどころかその逆で周囲の音はどんどん鋭くクリアに聴こえるようになっている気がします。昔は気にも留めなかった各所のバックグラウンドノイズや20K以上の空気感がとても気になります。さらに耳の使いすぎからか、最近では「夢の中でリアル音質の曲がフルコーラス鳴る」などという珍現象まで発生する始末です。関連して「未熟でセンスに欠けるプレイヤー程、自楽器やまわりの音量を上げたがる」というのも一部同じ原因でしょうか。

・ 「最近の携帯電話の声が当てられない」

例えば、昔電話がアナログだった頃、知り合いの女の子から冒頭名乗らない失礼な電話がかかってきてもすぐ誰だか言い当てるのが結構得意でした。ところが最近は正答率3割をも切る勢いで恥かいています。会話に支障がないからといってむやみに上下やらフォルマント削りすぎるのは寂しい限りなのですが、これなど脳が勝手な思い込みで音を補間している好例だと思います。

■ この現象が意味する重要なポイント

これが我々演奏屋にとって意味する最も重要なことは、ある音が空間に提示されていても「それを誰もが同じ音として聴いている訳ではない」という事実です。例えば聴覚的に未熟なプレイヤーが混ざっているアンサンブル中で誰かが難解で高度なパッセージを用いたとしましょう。その未熟なプレイヤーにとっては理解出来ないばかりでなく実際にその音が聴こえていない場合があると考えられます。まったく聴こえていないことは有り得ないとしても32分フレーズが16分レベルに間引かれて伝わっているかも知れないのです。

一般にスキル的にレベル差のありすぎるアンサンブルが成り立たない事例が多いのはこの所為ではないでしょうか。例えれば「標準語しか知らない未熟者」は標準語以外の言葉をまるで無視するかのように処理し、「標準語と関西弁を同時に使える達人」は関西弁を織り交ぜた高度な表現を駆使しても無意味となりストレスが溜まっていきます。たとえ達人を迎えようともバンドの全体レベルは最も未熟なメンバーのレベル以上には上がらないということです。耳音響放射も含む聴神経はおそらく鍛錬による向上、自己制御が可能なはずです。自分がアンサンブルの足を引っ張ることの無いよう十分耳は鍛えておきたいものです。

また、耳が未熟で聴こえない音が多いということは必然的に手先のテクニックもそのレベルを超えることが出来ないことになるわけですから、結果そこでつまずき自分でこのことに気付くまではどうして上達しないのか原因不明のまま悩みつづけることになるでしょう。どんなに上達しようと基礎練継続なのが大前提としても、例えば練習がべた打ちロールのみでの速さの追求だけとかに偏ってしまっていては音楽的アンサンブル(=良いグルーブや情緒表現力)の上達など見込めないと思います。


■ ※ 余談、歪成分耳音響放射(DPOAE)

Drumから離れますがちょっとだけ楽理面の余談です。

耳音響放射に関連して、周波数f1,f2(f1<f2)の2音を聴くと、
  f3=2*f1-f2
で与えられる新たな音f3が耳内に発生するということですが、これでいくとなんと、

「2音を聴くと下方倍音が発生」

することがわかります。音楽界で物議を醸しているらしい下方倍音ですがDPOAEの産物として本当に存在するようです。まあ一部でいわれる下方m3rdのコンセプトとはちょっと違いますけれども。例えば単音と比べ近傍2音ハモリになると途端にどの音なのか判別しにくくなることのヒントなんかが隠されている気もします。

またCとG(P5th)が鳴れば下方C、GとC(P4th)が鳴っても下方Cが発生、このことから
「CとGが同時に鳴るとインターバルに関係なくCをRootと認識」
という経験則の答えが提示されているといえるのではないでしょうか。

■ ※ 余談その2、誘発耳音響放射(TEOAE)

もうひとつこれはドラミングにもの凄く関係する話。

同じく耳音響放射に関連の誘発耳音響放射という耳の増幅機能ですがこれにはレイテンシがあって高い音ほど素速く、低い音ほど遅く増幅されるとのことです。ここにも
「同時に出した音なら低音は遅れ、高音ほど前のタイミングに耳は感じる」
の答えがあるような気がします。


左右の耳の働き

私は同期演奏時、密閉型ヘッドホンを使い、右はすっぽりでクリック&オケ専用、左は適宜ずらしてソト(外)の生音とMixしつつプレイする癖があるのですが、その適合性を奇しくも裏付けてしまう記事がありました。左耳は音楽用、右耳は言語やクリック音用とのことです。

■柴田クリニック www1.neweb.ne.jp/wb/shiba-ent/
左耳は音楽、右耳は言語、互いに役割分担…米大研究
www1.neweb.ne.jp/wb/shiba-ent/topics/index047.htm

私の癖はホントに自然発生的なもので誰かに教わったわけでもなく、これがまた逆だったりすると妙にしっくり来なくて調子が狂うときがありました。もし事実が記事の通りなら疑問氷解な訳です。もう15年以上このスタイルなのでじつのところ慣れの問題が大部分なんでしょうけども、それでもなんとなく救われた気分です。

以下補足で述べておけば私はクリック&シーケンスオケ以外の「返し音」をヘッドホンモニタリングすることは滅多に無いです。またヘッドホンの種類については、密閉型はソト生音がマスクされ高音部やニュアンスまで捉えづらいのが弱点、オープンエアだとソト生音のナチュラル感が増すかわりに総音量アップせざるを得なくなり難聴になる危険性大なのが弱点です。私が密閉型を好む理由がこれで、密閉型だと特に強力なヘッドホンアンプをかますことも必要なく、アマ向けポータブルMTR(VSやAW)直出しとかでも十分事足りる場合が多いです。外への漏れ音が少ない利点もあります。ただ生音がかなり犠牲になるので慣れるまで非常にプレイしづらいことを念押ししておきます。


周囲の音が見えなくなる時があるのは何故か

いわゆる音量バランス調整とその能力の話です。スタジオはもとよりステージではプロといえどもPAエンジニアとの連携も含め諸氏悩んでいる命題でしょう。未熟なうちは自ドラムセット各パーツの音量バランスさえ見失った体験もあると思います。私は少しだけながらJazz系ハウスオペの経験もあり、プレイヤー、PA両視点から得たノウハウは結構プラスに働いています。現在一般に通用していることでも明らかにおかしいと感じる部分が少なからずありますので私なりの意見として少し触れておきたいと思います。結論からいえば、カギとなるのはやはり個々の耳スキルです。

■ 音がまとまらない(もしくはまとめられない)原因

● 自分が焦っている

ステージで音を見失ったりする原因のほぼ9割以上がこれだと思います。まさに敵は己の中に在り、私自身の経験からも精神力、集中力の重要さは非常に力説したい部分です。私の思い込みではおそらく脳内に満たされている制御物質セロトニン量(演奏などの興奮時は多い程良い?)のコントロールスキルかななどと勝手に考えています。まあくだけていえば「熱血仙人となれ」です。

PAスタッフや他プレイヤーにそこそこ常識レベルの腕があり器材も万全の状態で音バランスに不満が発生した時は、まず最初に自分の精神状態を疑ってかかりましょう。自分の実力は今更あがいても変わらないと割り切り、現在の能力の範疇でいかに聴衆を楽しませるかに集中するべきです。逆に迷いが無く頭脳と耳が冴えている時は霧が晴れるようにすべての音が見通せるようになります。エンジニアへの的確な指示も可能になりますし、多少のモニタ不備など気になりません。甘えた心は排除するべく日々精進しましょう。

● 単純に耳能力が未熟

1. 【音色】⇒ まずもっとも影響すると思われるのは根本的音色の良し悪し、抽象でいうところの「抜けてるか潰れてるか」だと思います。具体的にはタッチが力でなくスピードで攻めきれているかどうかです。チカラで潰れて濁った音は余計な倍音が多く輪郭が不明瞭、聴感で聴こえにくくなるうえ他をもマスキングします。結果そのプレイヤーはさらに自音量を上げる傾向にあり悪循環を招きます。耳能力が低いままではこの事実は実感出来ないでしょうから、他にどれほど迷惑をかけているかの罪悪感さえないのが問題です。(自分も駆け出しはそうでした。)

もちろん私でも「このタタミ込みを聴け」なんていうここぞのワイルド迫力フレーズでは濁りめの音(それでもスピードショットで落とした上でヘッドへの「なすりつけイメージな感じ」で制御)を織り交ぜて使いますが、ポイントは濁⇔澄の使い分けと塩梅、跳び出しと引っ込みの気持ちよいバランスなんだと思います。

また、スピードで鳴らされた音は遠達力と芯があり聴感上抜けて聴こえるので物理的音量を下げることができ、結果アンサンブルに対してプラス要因を与えることが可能となります。倍音が整理されている所為か、卓入力後のエフェクトの掛かり具合も潰れた音に比べ断然違います。


2. 【音のタイミング】⇒ グッドグルーブ体現能力、格好良くうねり良く聴かせるためのツボ(Pocket)に音を落とし込む能力、の不足です。うねりが気持ち良くないのに加え、悪い意味で分離が良くなり、意図しない分離が完成音バランスに違和感を与えます。また盲目的にすべてをシンクロさせてしまってもそれはもはやグッドグルーブとはいえないと思います。

この微細なタイミングをコントロールするためには左脳的に考えていてはおそらく無理で、クリック使用時とかに「64分のさらに半分後ろに寄せよう」などと機械的作業を思いながら臨むと大抵失敗するのが良い例でしょう。「ここが気持ちいい」とか「レイドバックはこの感じ」みたいなイメージ優先アプローチでひたすら「耳で演奏する」のがコツだと思います。そしてあくまでその結果としてメトロノームは微前方とかに聴こえる。丁度フレットレスが耳で音程を演奏するのに対しこれはその時間軸バージョンというところでしょうか。結局はこれも耳能力いかんです。

例えば一見ドラムばかり目立つ演奏はドラムが凄そうに思えますが、私にはアンサンブルとしてのグルーブが欠落しているように感じられ、すぐ聴き飽きたり一度でお腹いっぱい、ドラムが邪魔でしかたない時があります。


3. 【音量】⇒ 耳が肥えていて鋭い方はプレイと同時に音量バランスの調整もさすがに巧いです。フレーズ中のダイナミクス処理、ワイルド感に関わる濁⇔澄の使い分け、音価やアンビエント処理、物理的ボリューム等々、それら全部で聴こえの音量感が形成されていることを意識無意識関わらず判っているのでしょう。ドラムからは離れますが、音ぶつかり対策等のEQに関しては達人ほどプレイそのもので解決していて、未熟な人間ほどボイシングに無頓着で機械的修正に頼っているようにも感じます。


― 以上のことは当然ドラムに限ったことではありません。どの楽器奏者でも一般に機械的にフレーズを再現できるだけで「自分は演奏が出来る人間である」と錯覚されている方が多いように思います。生演のうねりや音色などまで聴き学ぶことを軽視した我が国の技術偏重教育の負の成果なんでしょうか。これがプレイヤーだけでなく「機器の操作がセオリー的に出来るだけでPAである」とするエンジニアの方々が一部居られるのも残念です。

繊細、流麗、迫力、疾走感、恍惚感、嬉しい、悲しい、色、広狭、明暗、寒暖…などなどの情緒表現、またアンサンブルとしてのグルーブ制御の決め手になるのがいうまでもなく耳的なスキルであり真の実力だと思います。当然ここでの命題、音量バランス制御のためにこれが重要であることはいわずもがなです。遙か昔、青山純氏がクリニックで仰られていた「ドラム各パーツ音量のバランスさえ良くなればそれだけで既にプロである」という言葉がとても印象に残っています。

● 大音量過ぎる

これはかなり次元の低い具体的要因になりますが、「耳能力スキルが低すぎる」「プレイヤーとして未熟すぎる」とも同義だと思います。自分の音を極度にブーストしたがったり、マイクの本数や質を要求するプレイヤーなど(プロでも居ます)は未熟をひけらかしているようなもので実に恥ずかしい。音場の見通しを良くしたければ音量下げで対応なのは鉄則です。下げて迫力が無くなるならばそれは己のテク不足が原因。またPAに於いてもレベル調整はまず引き算が基本となっています。

ライブのサウンドチェックならステージ内Vo,Cho等以外はアンプ生音と生ドラム音のみでまず調整しましょう。バンド内の音がまとまる前にモニタやメインをオンにしては(させては)いけません。そして音洪水のドツボに呑み込まれないよう日頃から音量下げの勇気と鋭い耳を鍛えておきましょう。

私の場合では500程度の小規模ホールまでならドラム脇モニタは完全オフでVo前コロガシだけ聴いてることが殆どです。むしろ貴重な場所を占拠されるので脇モニタなど邪魔なだけ。耳が冴えてさえいれば全く問題ありませんしピアニシモ領域が拡がることで演奏にもプラスです。扱うスピーカやバスが減ることで卓オペレータの負担を軽減しエンジニア陣の余裕を生む相乗効果も期待できます。

この私の指示はRockやアマチュアに慣れたPAオペレータには驚かれることも多いです。が、自分の過去の経験では、素晴らしい演奏をするプロプレイヤー程モニタにまったく頼らないか適当な小音量で済ます傾向にあり、逆にモニタリング調整にしつこく時間をかけ大きな音で返しを聴くプロに限って本番の出来は悪い、のが常でした。

● 人間性の問題

さらに低次元ですが、迎合ではなく真の意味での全体の協調性は当然必要です。目の前ばかり見るのではなく「こういう音を出せば結果完成Mix音はこうなる」的な総合判断力とメンバーを最大限活かす聡明な決断力や優しさがアンサンブル全員に備わることが理想です。重要なのは無能なメンバーを上昇指向的で公平に説得できる根性、果てはアンサンブルから排除できる(あるいは「鍛えて出直してきます」と自身をクビにできる)勇気でしょうか。難しいですね。


鍛錬方法

■ 耳能力の鍛錬法

私の経験でしか語れませんが少し挙げてみます。

全パート耳コピー

ドラムだけでなく全パートフルコピーが私には非常に為になりました。曲まるまるをリアルタイム入力からMIDI Dataとして起こします。音の正否は重ねて走らせるなどしてシビアにチェックすることです。既製の市販楽譜などにはたとえ一部分とかでも頼るべきではありませんし、また数字打ちはグルーブ無視を助長するので逆効果でしょう。加えてアレンジや作曲もしてみれば強力です。近年は打ち込み環境も安価に構築できますから本当にいい時代になりました。

これは曲を聴き覚えて自分のものにすることの単なる一段上の作業ですから、たとえ他楽器に習熟していなくとも憶することはありません。私もDrum以外の楽器は素人レベルです。私見ながら「そこからもし無くなってしまうと困る音を探す」という感覚で臨めば音を掴みやすいように感じます。そしてこの作業をきっかけとして他楽器プレイヤーのアプローチスタンスを理解することがその後すべてに好影響をもたらしていきます。音程の分解能や耳のフォーカス能力はこれでかなり鍛えられました。

ミックスダウンやマスタリング

私の場合は一発勝負の卓オペで多少鍛えられた部分もありますが、それ以上に現在のDAWなどでのミックスダウン、マスタリング作業のほうが耳能力向上にかなり役立っていると感じます。上記同様、録音編集環境は現在プロアマの境が無くなっているといえるので環境構築は簡単にできると思います。伴いレコーディング等の一連のエンジニア的経験もプラスに働きます。

インタープレイで武者修行

仕込みや打ち合わせの殆ど無いJazz系のセッションで鍛えるのが良いと思います。これも最近は各所で行われていますが、参加有料で商業路線化しているのがやや残念です。料金を払って演奏すると自己満足や甘えが出るので私は否定的なんですが…。一朝一夕にオファーは来ないので簡単ではないもののセッションホスト側の立場で集客の責任を課されるほうにまわれれば上達も早まると思います。

良い生音が聴けるライブを観る

あくまで良質なライブ演奏に限ります。プロアマ問わず凄腕で巧い方々は居ますがアマチュアでは見つけるのがちょっと大変かも知れません。逆にプロと名乗っていても?なのは少なくないですが…。PAを通した加工音を聴いてもあまり参考にはならないでしょう。私は玉石すべて聴くことから逃れられない環境に置かれたりしたので、それからいえるのはクオリティの低い演奏を聴いても耳をやられるばかりで辛いだけということです。爆音ライブとかには耳栓持参で商売道具を守りましょう。

■ スピードで攻めるショットを身につけるには

じつはこれは私には説明不能です。私は特定のグリップやフォームに拘って追求したことはありませんし、ある時点からどうでも良くなってしまっています。耳能力向上に従い現在の自分の音にも納得出来なくなってくるので、手が勝手により綺麗で満足のいく音を鳴らそうとすることの積み重ねで今に至っています。たぶんこれが答えだと思いますが私だけなのかも知れません。
もちろん始めた当初は一般人以上にガチガチなぐらい格好悪かったですが、ひたすら基礎練等を続けるうちリキみもいつの間にか取れていました。腱鞘炎も経験無しです。最初は人並みに手のマメも出来てましたが現在はマメも硬いところも全くなく手全体がふにゃふにゃ柔らかです。筋トレは無駄な筋肉がつき重く感じてショットの邪魔をするので一切やりません。

参考になるか解りませんが私のグリップに関するトホホな話をひとつ。偶然機会がありスティックにぐるぐる巻き付けて使う市販のゴム製の滑り止めを一度だけ使ったときに、たった一曲で両手ズル剥けになってしまったという嫌な想い出があります。私にとってはどうやらスティックが滑ることこそが重要らしく、表面塗りをヤスリで削ぎ落として使うとかも過去試したことすら無かったのでその「ゴム巻きスティック事件」で始めて気付きました。というか誰があんな商品開発したのか甚だ疑問、私だけがそうとうに変なのでしょうか? そして他の方々はあれを普通に使えてるんでしょうか? 痛かったです。


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