● ドラム譜の解説
早速ですが具体例です。

簡単なエイトビートの一例です。下段BD、中段SD、上段HH、○囲みの×はHHオープンを表します。
より丁寧なものにパーツを指定したものがあります。

前述したように現在のドラム譜ではパーツを表記する絶対位置が決まっていないために必要に応じてこのように記述します。
だいたいの傾向として、
- ドラム類は通常音符で記述、BDは下方、SDは中、TTは中上方という感じで各ピッチに準じた高低位置に配置。
- HHクローズやピング(ライド)音など余韻のごく短いシンバル音は×、HHオープンは○を付記。
- クラッシュ音など余韻の長いシンバル音は○囲みの×。
- シンバルカップ(ベル)音は◆や◇、カウベルなど金物系は▲や△。
のような記述が多くみられます。
実のところ鳴らす音=楽器の選択はプレイヤーの判断に任されていて譜面だけからの情報では綿密な指定は読みとれません。またセットはプレイヤーごとに変わるため楽器の指定は無意味でもあります。つまり現代のコンテンポラリー系音楽を演奏する上ではクラシック的感覚での譜面使用は行われないということです。したがって不完全な記譜法でも実際コトは足ります。
現実にレコーディングや初見ものなどで楽譜使用の場合でも、演奏音符がすべて記されているものを使用することは希ですし、だとしてもその通り演奏する必要はありません。むしろ多くの場合、記譜どおり演奏すると無味乾燥なものになるのは必至でしょう。ドラムセットプレイでは常にアドリブを交えて演奏している状態が普通であると考えて下さい。
逆にドラムの初見演奏時に必要なのは主旋律やPfやBassの譜割です。これらから曲の雰囲気の把握や他楽器を補強するためのドラムフレーズを導き出す作業が重要になります。打ち合わせ無しの全くの初見でもしドラム譜のみしか用意されていない場合は完全にお手上げといえます。
理想をいえばコード理論にも精通してドミナントモーションや一時転調などの位置を確認しておけば曲中の安定感、不安定感の表現が容易になることでしょう。まあこれは感覚的に自然と耳で理解できていることの裏付けをとっているだけですから知らなくて損することはないですが知っていれば未知の曲を演奏するときの強力な武器になります。この点では私とてまだまだ未熟で瞬時にアナライズするのは不可能、大雑把に把握することでアプローチするための気分的な安心感を得ている程度のものですが…。また楽理に全く明るくなくともコードチェンジの位置などは構成を把握する上で重要な指標です。初心者の段階でもこのあたりは気に留めておいて下さい。歌心のあるセンス良い演奏のための第一歩です。
始めて間もない頃は何を叩くのかさえ暗中模索ですから、多方面からいろいろと吸収するためにある程度譜面の知識は身につけておいた方がよいでしょう。しかしコピーをするにしても必ず耳でとるのが基本です。憶えておくためのメモがわりに譜面を使えばよいと思います。市販の出来合いの譜面をコピーに使用するのはあまり望ましくありません。あくまでも参考までにしておきましょう。
● 譜面の具体的使用
Webmasterの場合、演奏の現場では自分専用の構成表のような簡略型スコアを起こし直します。時間が許す限りでの作業ですから無理なときもありますが、前日までにスコアやデモを頂ければ極力やるようにしています。
ポイントとしては、
- ダルセーニョ、コーダ表示などを極力実際の尺表現に戻し明確に尺構成を表示。
- テーマ、サビ、ソロなどの構成を明示。歌モノではこれを特に重視。
- タセット、トゥッティをチェック、さらに決め手となるフレーズはそのまま音符で表記。
- テンポ、曲調、フィールは詳細に言葉を使って指示書き。
といったところでしょうか。とにかく不要な部分は削り、追加で演奏に必要な情報は言葉も使って詰め込みます。あやしい記号や矢印などローカルレベルな表記も多く使っていて自分以外には理解不能なものです。
米語のスラングではスコアをロードマップと表現するようです。これは言い得て妙で、譜面はあくまでも地図であり現実の景色ではないという意味が込められています。現実の景色は自身が生み出すものであってスコア上の情報は大雑把なガイドであることを認識しておきましょう。